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ラットにも「共感力」や「道徳観」がある? 他者を傷つける行為を嫌がることが判明:研究結果

 ラットも人間と同じように他者を傷つけることを嫌がるという研究結果が、このほどオランダの研究チームによって発表された。人間と同じ脳領域にある「共感」をつかさどるニューロンが、他者への危害を防いでいる可能性が高いという。

TEXT BY SANAE AKIYAMA

OLENA KURASHOVA/GETTY IMAGES
OLENA KURASHOVA/GETTY IMAGES

人間には、それぞれの地域、文化または歴史的な違いはあれど、よい行いと悪い行いを判別する普遍的な道徳観がある。例えば「他人を傷つける」「人の物を盗む」などは、幼い子どもでも理解できる「悪い行い」だ。

これらのモラルはいかにして発露するのかよくわかっておらず、人間に特有な心の働きだと思われてきた。ところが、動物にも似たような道徳観が生まれながらに備わっている可能性が研究により示唆されている。

このほど「Current Biology」で発表された論文によると、ラットも人間と同じように他者を傷つけることを嫌がるという。そればかりか、ラットの脳の前帯状皮質にあって「共感」を感じられるミラー・ニューロンを不活性化させると、同種を傷つける行為を嫌悪する「危害嫌悪」を無効にできることも確認した。

モラルの基盤となる「共感」

自分以外の個人の感情や経験を共有する能力「共感」は、他者を傷つける行為を、まるで自分が傷つけられているかのような視点で想像することを可能にし、負の感情を引き起こす。言い換えると、十分な共感力が備わっている人々は、他人を傷つける行動に「危害嫌悪」を覚え、積極的にこういった行動を慎む傾向にある。

つまり「共感」こそがわたしたちの道徳観の根底にあるもののひとつだと考えられているのだ。「共感」が可能にするこのような向社会的行動は、寄付やボランティアなどの原点にもなっている。そして、世のため人のための“善行”に欠かせないものなのだ。

しかし、人間社会において普遍的である「危害嫌悪」がどのように脳神経学的な進化を遂げたのかは、いまだによくわかっていないという。そこでオランダ神経科学研究所の研究チームは、同じ哺乳類のラットを使用して、危害嫌悪が起こるかどうか実験した。本当に動物は利己的で、危害嫌悪は人間だけのものかどうか調べるためのものだ。

ラットも他者を傷つけるのを嫌がる

研究チームは、まずラットがいる部屋の両端にふたつのレバーを用意した。そのどちらのレバーも、ラットが引くたびにごほうびとして同じ量のキャンディ(ショ糖)がもらえる。これを何度か続けると、ラットは“お気に入り”のレバーを決めて、繰り返し引くようになった。

次に研究者らは、ラットがお気に入りのレバーを引くと不快な電気刺激が隣部屋にいるラットの床に伝達するように細工した。キャンディをもらうためにお気に入りのレバーを引くごとに、隣のラットは電気ショックを受けて、特有の鳴き声を上げるというわけだ。

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