PR

WIRED WIRED

北極圏の氷や凍土が溶けて「緑化」が進めば、この地の温暖化はさらに加速する

地上世界は「氷山の一角」でしかない

永久凍土が融解すると、より多くの水が土壌に供給され、植物にさらなる連鎖反応が起きる。「地面が凍っているときは、植物は水を得られません」とカービーは言う。「この時期の植物は砂漠に生息しているようなものなのです」

また土壌が凍っていると、植物が成長可能な時期は制限される。だが、凍土の融解が早く始まると、植物もそのぶん早い時期から成長を始めるだろう。

さらに、土壌の深いところで融解が起きると、大量の養分が放出される。この養分は、凍土の下に恐らく数千年間ほど封じ込められていたもので、北極で増える植物種の成長にとっては十二分な栄養になるはずだ。こうして北極圏の緑化はさらに進み、温暖な気候を生かせる植物により適した生息環境になる。

だが、北極の謎の多くは地下に埋まっている。北極のツンドラの生態系では、生物量の最大80パーセントが地下にあるとみられているのだ(酷寒の冬には根が地下で生きのびていることを思い出してほしい)。

「生物量で考えると、地表に見える植物は氷山の一角にすぎません」と、マイヤーズ=スミスは言う。「気候変動に対して北極の植物がとる多くの反応は、実際には地下世界で発生している可能性があります。これを追跡・モニタリングすることは容易ではありません」

もうひとつの大きな謎は、大型・小型を含む動物種が、温暖化や緑化が進む北極の状況にどう適応するかだろう。

毛虫のような小型の草食動物は、草木が生い茂る北極にどう順応するのか? カリブーのような大型の草食動物は、豊富な植物をどのように活用し、植物の移動パターンにどのような影響を与え、先住民の重要な食物源をどう脅かしうるのか? また、北極のあらゆる草食動物が豊富な植物をむさぼり食うと、炭素循環にはどのような影響が及ぶのか? 

科学者が非常に懸念しているのは、永久凍土の中に大気中の2倍の炭素が存在している点だ。

「過去数千年もの間、永久凍土には大量の炭素が蓄えられてきました」とカービーは言う。「その永久凍土が融解し始めると、微生物が凍土内にある枯れ葉や動物の死骸のすべてを消化し始める恐れがあるのです」。そしてこの融解は、すでに北極圏の緑化によって加速している可能性がある。

人間が植物を目の敵にするなんて、奇妙に思えるかもしれない。だが、緑豊かな草原が素晴らしいものではない場合もあるのだ。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ