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プラスティックごみの削減に気をとられると、気候変動対策の「もっと重要なこと」が見えなくなる

 気候変動への対策として、まずプラスティックゴミの削減に取り組む国や個人は多い。それがいいことなのは間違いない。だが、簡単に始められて比較的早く成果が上がる施策は、本当に必要な変革から目をそらせてしまう危険もはらんでいる。

TEXT BY MATT REYNOLDS

TRANSLATION BY KAREN YOSHIHARA/TRANNET

WIRED(UK)

WESTEND61/GETTY IMAGES
WESTEND61/GETTY IMAGES

ボイヤン・スラットは2012年、海に漂うプラスティックごみを除去する計画を考案した。当時18歳の学生だったスラットは、祖国オランダのデルフトで開催された「TEDx」のトークにおいて、1日あたり輸送コンテナ55個分のプラスティックごみを太平洋から回収できる巨大な浮遊装置の構想を語った。

魚網が絡みついたアザラシや、腹部にプラスティックが詰まった海鳥の写真を交えたスラットの講演は、世間やメディアの関心を惹きつけた。海洋生物学者からは、スラットの提唱する装置が野生動物を危険に晒すことになる可能性もあるとの批判も出たが、それにもかかわらずスラットと彼が設立したスタートアップのオーシャン・クリーンアップは、その後の7年間で2,440万ポンド(約33億7,800万円)もの資金を調達したのである。

皆が熱心な脱プラスティックへの取り組み

各国が二酸化炭素排出量の削減のための最善策を考えあぐねている間も(一部の国は削減努力が必要かどうかすら疑問視していた)、人々の意見はひとつの点で合致していた。それは、プラスティックは悪影響を及ぼすものであり、海からできる限り多くのプラスティックごみを回収することが好ましい、ということである。

だが、海洋プラスティックごみに執着するあまり、それよりもはるかに大きな環境問題の全体像が見えなくなっているということはないだろうか?

環境に関する気の滅入るニュースが溢れる世の中で、プラスティック汚染は英国の人々が意欲的に取り組もうと思える数少ない環境問題のひとつだ。15年にレジ袋が有料化されて以来、英国の7大スーパーマーケットで提供された使い捨てビニール袋は83パーセント(60億枚以上)減少した。この成功に後押しされ、19年5月に英国政府はプラスティック製のストロー、マドラー、そして綿棒についても20年4月より禁止とすることを正式に発表している。

消費者もまた、脱プラスティックに取り組んでいる証を熱心にひけらかしている。英小売店アルゴスは17年12月、繰り返し使える“マイカップ”の売り上げが前年同月比で537パーセント増加したことを発表した。

プラスティック包装を削減するために“プラスティックフリー”の店を活用している人もいる。さらに19年11月上旬には、英主要スーパーマーケットのテスコ、セインズベリーズ、ウェイトローズ、そしてアズダが、リサイクルが困難な黒色プラスティック容器を19年末までに段階的に廃止していくことを発表している。

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