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スパイ伝統の受け渡しテクニック「デッド・ドロップ」は、このデジタル時代においても“現役”だった

「記者や情報提供者に直に会うことが好ましくない場合もあります。郵送する方法もあるでしょうが、そうするとほかの当事者を信頼することになります。配送サービスが配達前に中身を調べる可能性もありますよね」

自身もかつて、記者と情報提供者のデッド・ドロップの準備を手伝ったことがあるというサンドビックは、以下のように続ける。「デッド・ドロップは荷物の受け渡し方法、タイミング、受取人を厳密にコントロールする手法です。コントロールできる変数をできるだけ増やす方法であり、直に会う必要がまったくないのです」

デット・ドロップに向く場所とは?

デッド・ドロップは何十年も前から、諜報機関の受け渡しテクニックの柱のひとつであり続けている。

旧ソ連から続く軍事情報機関である情報総局(GRU)から離反し、ビクトル・スボーロフという筆名で自らの体験を書籍にしてきたヴラジーミル・レズンは、回顧録『死の網からの脱出-ソ連GRU将校亡命記』で、ソ連のスパイだった1970年代の日課の中心はデッド・ドロップの準備と確認だったと記している。レズンは著書で「空いた時間はすべて、こうしたデッド・ドロップの場所を探すために費やす」と、記している。

「人目につかない場所を見て回る。スパイはそうした場所をいくつももっていなければならない。間違いなくひとりでいられ、尾行されていないことが確認でき、秘密の書類や物を隠しても、通りにいる子どもたちや偶然通りがかる人に見つかることがない、と確信できる場所だ。建築工事が進行中だったり、隠したものがネズミやリス、降雪や降雨でだめになったりすることがあってはならない。スパイはそんなデッド・ドロップの場所をたくさん用意しておく必要がある。同じ場所を二度使ってはならない」

80年代にソ連国家保安委員会(KGB)の二重スパイだった米中央情報局(CIA)元エージェントのオルドリッチ・エイムズと、FBIの元エージェントのロバート・ハンセンのふたりも、ハンドラーに秘密を届ける際にデッド・ドロップを使っていた。

例えばハンセンは、北バージニアにある公園の小川にかけられた歩行者用の橋の下にゴミ袋を隠していた(その中には書類やコンピューターのディスクが入っていた)。そのうえで、公園内の案内標識にテープを貼った。ソ連側の連絡相手に対して、デッド・ドロップに“装填”したので確認するよう伝えるためだ。

デジタル時代の「デッド・ドロップ」

時が経ち、暗号専門家やプライバシーを重視するソフトウェアの開発者たちは、こうした物理的なデッド・ドロップの匿名性と秘匿性をデジタルで再現しようと取り組んできた。『WIRED』US版など一部の報道機関が使っているソフトウェア「SecureDrop」は、情報提供者がタレ込み情報や書類を、匿名ネットワークのTor経由でジャーナリストに送信できる仕組みだ。

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