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グーグルが主張する「量子超越性の実証」に、IBMが公然と反論した理由

IBMとグーグルの論争は、量子コンピューティングの矛盾した状況を表している。量子コンピューティングはここ数年で驚異的な進歩を遂げており、IBMやグーグル、インテル、マイクロソフトなどの企業が大規模な研究チームを構築してきた。

なかでもグーグルは、量子超越性の実証が間近であると数年にわたって主張してきた。これは同社が競合と競ってトップクラスの専門家を引き込み、潜在顧客を集めていくうえで、有益かつ一方的な主張と言える。確かに量子コンピューターの実現はかつてないほど現実味を帯びてきたが、いまもまだ実用化にはほど遠い。しかも、どれだけ遠いのかすら判断しづらい状況にある。

激化する国際競争

9月にオンラインで漏えいしたグーグルの草稿によると、同社はプロトタイプの量子プロセッサー「Sycamore」とオークリッジ国立研究所の世界最速のスーパーコンピューター「Summit」の両方に統計数学の問題を与えた。そこで得た結果から、Sycamoreが3分20秒で解いた問題を解くには、世界最速のスーパーコンピューターでは約1万年かかると推測していたのである。

これに対してSummitを開発したIBMは、Summitはその問題を解くために数千年どころか2日半で完了できたはずだと主張している。しかも時間をかけて最適化して実行すれば、2日半よりも短期間で完了できる可能性もあるという。

それでもグーグルのSycamoreが記録したとされる処理速度より遅い。だが、そもそもカリフォルニア工科大学教授のジョン・プレスキルが量子超越性という概念を定義した当初、量子超越性を示すには量子コンピューターが古典的コンピューターではまったくできないことをする必要があるとされていた。

グーグルのライバル企業が、量子超越性を達成しようという同社の計画に疑問を呈したのは今回が初めてではない。グーグルが2017年に量子超越性のマイルストーンに近づいたと発表したあと、IBMの研究チームは“ゴールポスト”を動かしたかのような研究結果を発表している。

またグーグルは2018年初頭に「Bristlecone」と呼ばれる新しい量子プロセッサーを発表し、量子超越性の実証準備が整ったと主張した。そのあとすぐ、独自に量子コンピューターの開発をしていた中国のアリババの研究チームが、Bristleconeはグーグルが発表したことを実行できないとする分析結果を公開した。

研究者たちの本音

グーグルはSycamoreによる量子超越性の達成に関する査読済みの論文を公開し、同社の主張を科学的な記録として残すとみられている[編註:10月23日付の『Nature』に査読済み論文を掲載]。IBMが21日に発表した論文も査読が済んでいないが、IBMは査読を実施して改めて公開する予定だという。IBMに在籍するトップクラスの量子研究者のひとりで論文の共著者でもあるジェイ・ガンベッタは、グーグルの主張が最終的に技術者の間で受け入れられるかどうかという議論に、IBMの論文が影響を及ぼすことを期待していると言う。

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