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電子たばこが肺に免疫障害を引き起こす可能性、米大学の研究から明らかに

溶剤が肺の脂質層を傷つけている可能性

肺は体内のガス交換を担う臓器だ。酸素を取り込み、二酸化炭素を出す。だがまったく汚れのないきれいな空気を吸っている人など、ほとんどいない。汚れ、細菌、ウイルスなどが遠慮なく入ってくる。そうした汚染物質から肺を守り、結果的に体全体を守っているのが、左右の肺を覆う薄い脂質の層と、マクロファージと呼ばれる非常に重要な細胞群だ。

脂質層は体内に侵入してくる異物や毒素を回収し、自らと一体化させることによって肺胞嚢への接近を阻止する。一方、マクロファージにはふたつの重要な役目がある。ひとつはどんな侵入物質も見つけ次第に食い尽くすこと。もうひとつは1日に数回、肺を覆う脂質層を新しくして、再生利用することだ。

ところが今回のマウスによる研究を見ると、電子たばこのカートリッジを満たしている溶剤が脂質層を傷つけ、マクロファージのクリーニング作業を妨害して、大事なこの働きを狂わせているようなのだ。脂質層に何が起きているのか、正確なところはケラドマンドにもわからない。何が変化しているのかを知るには、さらなる調査が必要だ。しかし何が起きているにせよ、肺の働きが損なわれていることは確かだ。

そうなると、マクロファージは脂質をうまく再生利用できなくなるだけでなく、毒素や異物を見分けて排除する役目も果たせなくなる。「免疫システムがバランスを失ってしまうのです」と、ジャスパースは言う。彼女は自身の研究で、電子たばこが鼻の細胞にも同様の免疫障害を生じさせることを発見した。「免疫システムは無防備なので、すぐに調子を崩してしまうのです」

科学者たちの考え方にも変化

CDCが調査に当たっている原因不明の症例のうち、一部はリポイド肺炎と診断されている。肺炎に似た症状を伴うが細菌感染に起因せず、肺に脂肪が蓄積する免疫反応の一種だ。ケラドマンドの研究室では、一度もニコチンを吸い込んでいない複数のマウスにこの症状が確認された。「慢性的に電子たばこの溶剤の蒸気にさらされるだけで、発症に至るには十分だったわけです」と彼女は言う。

全米で急増中の呼吸器疾患が、溶剤だけのせいで起きているとは考えにくい。「原因として特定できそうな要素はほかにもあります」とジャスパースは言う。毒性のある香料や超高濃度のニコチンのほか、テトラヒドロカンナビノール(THC)という物質も電子たばこの有害性を高める可能性がある。また、危険を伴うほどの高温で化学物質を燃焼させるよう改良された電子たばこもそうだ。

この研究によって、電子たばこの疾病リスクに対する科学者たちの考え方にも変化が生じている。電子たばこ使用者の大半は25歳未満で、これまでに喫煙してきた時間が比較的短い。つまり、慢性的な喫煙習慣をもつ人によく見られる肺がんや肺気腫などの疾患とは、別の病気にかかる可能性をもつ人たちだということだ。

ジャスパースは言う。「いままでと同じ考え方で病気を突き止めようとすべきではありません。先入観をもたずに取り組んだほうがよさそうだと、多くの人が気づき始めています」

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