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電子たばこが肺に免疫障害を引き起こす可能性、米大学の研究から明らかに

 電子たばこの影響で肺の免疫系が機能不全になる可能性がある--。そんな研究結果が米大学のチームによって発表された。電子たばこの蒸気をマウスが吸い込んだだけで、肺を最近などの感染から守るはずの細胞が変質し、肺の免疫系が機能不全に陥ってしまったという。この症状の鍵はニコチンではなく、電子たばこのカートリッジを満たしている溶剤にあるようだ。

TEXT BY SARA HARRISON

TRANSLATION BY MITSUKO SAEKI

WIRED(US)

原因不明の呼吸器疾患が頻発していることから、電子たばこが健康に及ぼす影響への懸念が高まっている。RICHARD BAKER/IN PICTURES/GETTY IMAGES
原因不明の呼吸器疾患が頻発していることから、電子たばこが健康に及ぼす影響への懸念が高まっている。RICHARD BAKER/IN PICTURES/GETTY IMAGES

見たところ健康そうな米国の学生や若者たちのなかに、深刻な病を抱える者が増えている。2019年6月から9月初旬までの間に、原因のわからない呼吸器系の症例がユタ州で28件、ウィスコンシン州で32件報告されているのだ。

米国全体では、重篤な呼吸器疾患を発症した患者の数が25州で200人を超えている。8月にはイリノイ州に住む30歳の女性が亡くなり、9月はじめにはオレゴン州でまたひとり死者が出た。

患者たちには呼吸困難、胸の痛み、息切れといった症状があり、一部に嘔吐や下痢の症状も見られる。ウイルスや細菌による感染は確認されていない。普通に呼吸することができなくなったようなのだ。

それまで健康に過ごしていたこれらの人々の共通点として、唯一わかっていることがある。それは全員が電子たばこを吸っていたことだった。

ニコチン無添加でも肺の免疫系が機能不全に

米疾病管理予防センター(CDC)や各州の保健機関、米食品医薬品局(FDA)は原因究明を急いでいる。米国では高校生のおよそ2割が電子たばこに親しんでいることから、この習慣が人体に与える影響の解明は喫緊の課題となっている。

米医学誌『Journal of Clinical Investigation』で9月4日付で発表された研究が、このパズルにひとつのピースをはめてくれるかもしれない。ヒューストンのベイラー医科大学の研究チームによると、電子たばこの蒸気にさらされたマウスには、紙巻きたばこの煙を吸ったマウスとはまったく別の重い症状がいくつも現れたという。

研究からは、ニコチン無添加の電子たばこの蒸気をマウスが吸い込んだだけで、その肺を感染から守るはずの重要な細胞がすっかり変質してしまうことがわかった。研究を指揮したベイラー医大の呼吸器科医ファラー・ケラドマンドによると、これは細菌やウイルスに対する肺の防護力が“阻害”されて起きる変質だという。マウスの肺の免疫系が機能不全に陥ったのだ。

免疫障害と電子たばことの関連は何年もの間ささやかれてきた。だが、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の教授で、今回の研究にかかわっていないイローナ・ジャスパースによると、電子たばこが肺機能にどんな影響を与えるかを観察した例はこれまでになく、今回の発見がおおむね初めての成果であるという。

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