PR

WIRED WIRED

Sci-Fiで描かれた“未来”が、 わたしたちの“現在”を変える

 SciFuturesを立ち上げたアリ・ポッパーは、「想像力」そのものをビジネスに変えた。ノウハウはあってもアイデアのない企業や組織に、SF小説家が“イマジネーション”を提供する。Sci-Fiで描かれる未来は、テクノロジー開発や投資の決断を下す経営者の目に触れることで、より“現実”に近づいていくのだ。起こりうる“未来”を知ることは、われわれの現在の思考や言動を変えるきっかけにもなりうるかもしれない--。

TEXT BY NICK ROMEO

TRANSLATION BY CHIHIRO OKA

ILLUSTRATION BY MARK PERNICE
ILLUSTRATION BY MARK PERNICE

アリ・ポッパーは5年ほど前に、カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)が提供するSF小説の書き方講座に通ったことがある。当時は市場調査会社の社長をしていたが、日々の業務は退屈で、何か新しいことに挑戦してみたかったのだ。

ポッパーはこのときのことを「人生で最高の10週間でした」と話している。「ただ、SF小説家として生計を立てていくのは無理だとわかっていたのです」

SF×コンサルティング

それでもポッパーは、UCLAの講座からあるアイデアを得た。ビジネスの世界では、市場が今後どのように変化していくかを予測できることがお金になる。一方、スペキュレイティブ・フィクション[編注:現実の世界とは異なる世界を扱った小説などの作品]では、まさに想像の世界をかたちづくっていくプロセスがある。これをうまく組み合わせれば、新しいサービスが成立するのではないだろうかと考えたのだ。つまり、SFというナラティブを活用したビジネスコンサルティングである。

ポッパーはすぐに仕事を辞めて小さな家に引っ越し、SciFuturesという会社を立ち上げた。そしていまでは、100人程度の作家たちが企業などのためにオーダーメイドの物語を書いている。ポッパーはこれを「コーポレート・ビジョニング」と呼んでおり、顧客にはVISAやフォード、ペプシコ、サムスン、果ては北大西洋条約機構(NATO)といった巨大組織が名を連ねる。

“文学的な想像力を収益化する会社”というアイデアは、それ自体がフィリップ・K・ディックのディストピア小説のように聞こえるかもしれない。作家という本業の傍ら、SciFuturesの編集者の仕事もこなすティナ・フィリップスは、「確かに文学とビジネスは相容れない感じがするかもしれません」と言う。数百から数千ワードのストーリーは企業の“商品”ではないにせよ、「場合によっては使えないという判断を下したり、クライアントの要求に合うように調整したりすることもあります」とフィリップスは付け加える。

顧客は一般的にハッピーエンドの話を好むが、不幸な結末でも、それを避けるための明確な経営戦略が提示されるなら構わないという。ただ、本筋から外れたプロットやキャラクターが組み込まれることはほとんどない。例えば、北米の大都市でカンガルーが飛び回っているという情景を盛り込んだ作品があったが、クライアントの自動車メーカーはその有袋動物を削除するよう求めてきたという。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ