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あの「真ん中の席」を選びたくなるシートが、いよいよ飛行機に搭載される日がやってくる

 窮屈であるがゆえに、飛行機で敬遠されがちな「真ん中の席」。座席を互い違いに配置したことで真ん中のほうが快適になるという新しいシートが、米当局の承認を得て飛行機に搭載されることになった。「ひじかけバトル」とも無縁になるという新しいシートは、実用化によって航空機市場を席巻する存在になれるのか?

TEXT BY ALEX DAVIES

TRANSLATION BY MIHO AMANO/GALILEO

WIRED(US)

このほど米連邦航空局(FAA)の承認を受けたMolon Labeのシート「S1」は、真ん中の座席を左右の座席と比べて数インチ低くし、後方に数インチ下がらせることによって空間を広くしている。IMAGE BY MOLON LABE
このほど米連邦航空局(FAA)の承認を受けたMolon Labeのシート「S1」は、真ん中の座席を左右の座席と比べて数インチ低くし、後方に数インチ下がらせることによって空間を広くしている。IMAGE BY MOLON LABE

このほど米連邦航空局(FAA)の承認を受けたMolon Labeのシート「S1」は、真ん中の座席を左右の座席と比べて数インチ低くし、後方に数インチ下がらせることによって空間を広くしている。IMAGE BY MOLON LABE

世の中には「誰にでもわかる真実」がたくさんある。とりわけ常識とされる真実は、飛行機では誰もが「真ん中の席」には座りたがらない、というものだろう。しかし、それが誤りであることを証明した男がいる。コロラド州にある航空機シート製造のスタートアップ、Molon Labeの創業者兼最高経営責任者(CEO)のハンク・スコットだ。

彼が設計したシート「S1」は、真ん中の席を左右の席と比べて2インチ(約5cm)低くして、後方に3インチ(約7.6cm)下げている。この互い違いのレイアウトによって、真ん中にある席の幅は最大23インチ(約58.4cm)になった。これは標準の18インチ(約45.7cm)よりゆったりとしている。

だからといって、ビジネスクラスのような快適さにはまだ及ばない。リクライニングシートではないし、この独特な構造によって足元の空間が広がるわけでもない。さらに1列か2列は現実問題として数インチ狭くせざるを得ず、低くなった席は脚の長い乗客にとっては窮屈に感じるかもしれない。

それでもスコットは、幅が広いこのシートを利用したいと考える人が出てくるのではないか、と期待している。「空の旅は本当に大変です。それを少しでもラクにしたいと考えています」と、彼は言う。Molon Labeは商用飛行機でのS1の使用が米連邦航空局(FAA)によって認定されたと2019年6月に発表し、第1号となる顧客企業を獲得したことも明らかにした。

このシートは大部分がアルミニウム製で、重量は20ポンド(約9kg)に満たない。重力に逆らう航空機にとって、この軽さは重要だ。IMAGE BY MOLON LABE

「ひじかけ競争」も解決

航空機業界では新しい製品を導入する際に、FAAの認定が大きなハードルになる。航空機のシートも例外ではない。現代の“玉座”とも言える航空機のシートには、重力の16倍の力を加えても支障をきたさない耐久性が求められるのだ。これは航空機が滑走路から外れるといった事故に遭遇した場合に乗客が生存する可能性を高めることを目指して、FAAが1988年に導入した規定である。

コンピューターモデルを使ったテストと設計の調整に数カ月かけて取り組んだあと、スコットは約15列ぶんのS1をウィチタ州立大学付属の国立航空研究所(NIAR)に19年3月に送った。そして航空機の墜落事故が起きたときの衝撃を再現するために、特別に設計されたそりを用いた実験が実施された。

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