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火星を“地球化”して移住するには、ある素材が生み出す「温室効果」が鍵になる

 火星への移住の可能性が模索されるなか、この星を地球のような環境に“改造”するテラフォーミングへの道が開かれるかもしれない。火星に極めて大きな温室効果をもたらし、二酸化炭素や水を生み出す可能性がある断熱材料--。ある専門家が提案しているのが、シリカエアロゲルと呼ばれる素材で火星を覆うというアイデアだ。

TEXT BY ADAM ROGERS

TRANSLATION BY MAYUMI HIRAI/GALILEO

WIRED(US)

MARK GARLICK/SCIENCE PHOTO LIBRARY/GETTY IMAGES
MARK GARLICK/SCIENCE PHOTO LIBRARY/GETTY IMAGES

火星は“攻撃的”な星だ。その大気は希薄で、もし人間が火星の表面に立てば、窒息と氷点下の気温のどちらで先に死ぬかという話になってしまう。

だが、そうした表現は火星を大雑把に捉えすぎているかもしれない。火星は決して、すべてが赤錆で覆われ、凍りついた地獄のような風景というわけではない。中緯度の地域では、ほんの数インチほど地面を掘れば二酸化炭素などの気体が凍った氷や、凍った水さえ見つかるのだ。

将来は火星に移住したいと考える人たちは、火星がもっと暖かくて雨が降り、酸素が多ければいいのに--と不満を言う。そして、火星を植民地にして人類の存在を宇宙に宣言する際に、地球の空気をわざわざ運んでいく必要がなければいいのに、と考えている。

そして人間のほとんどが、地球をますます住みにくくすることに忙しい。こうしたなか、火星を地球に似た環境にすることを提案している少数の人々がいる。それがテラフォーミング(惑星改造/惑星地球化)と呼ばれるアイデアだ。

火星に温室効果をもたらすアイデア

このアイデアは天文学者の故カール・セーガンがすでに1971年に提唱しているが、希薄な大気が問題になることは当時でさえ認識されていた。大気が希薄なことで紫外線の放射を大量に受ける一方で、赤外線は大量に出ていく。赤外線は火星の氷を熱して溶かし、生命体に適した水に変える可能性をもつにもかかわらずだ。

地球の大気において、二酸化炭素は断熱材として作用している。これに対して火星の二酸化炭素は、すでにすべて失われてしまったか、何らかのかたちで地下に封じ込められているかのどちらかだ。地球では温室効果が手に負えなくなりつつあるが、火星では大気の二酸化炭素はとっくの昔になくなっている。

それでも、「雪で覆われた地面に日光が数センチメートルでも入り込めば、それによって温度が大きく上昇して昇華が生じます」と、ハーバード大学で惑星科学を研究する准教授のロビン・ワーズワースは説明する。日光が地表にある半透明の氷を通過して色の黒い表層土に当たり、土の温度が上がって凍っていた二酸化炭素が気体になり、地中から噴出する現象が起きるのだ。

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