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人の表情を読む「医療用スマートグラス」が、パーキンソン病や精神疾患の治療に役立つ日がやってくる

「顔面麻痺のある人は顔面の異常な動きに気づきにくく、また顔の筋肉を制御するにも限界があるのです」と、ンドゥカは説明する。「適切なフィードバックがなければ症状が悪化する可能性があります。そこで、表情を検知する眼鏡から筋肉のフィードバックをリアルタイムで受け取ることで、患者は鏡に映る自分の姿を見なくても顔のエクササイズをできるのです」

このインサートには10個の電極が埋め込まれており、顔の筋肉が動いたときに生じる微細な電位の変化をモニタリングする。かっとなったときから微笑んだときまで、表情が変わることで電気的な変化が皮膚に広がるので、これをセンサーで検出してヘッドセットで処理するのだ。

パーキンソン病患者のための技術

エムテックのセンサー技術は眼鏡に搭載できるほど小型化されてており、すでにパーキンソン病患者の表情や体の動き、声の抑揚に関するデータを収集している。世界中で600万人いるパーキンソン病患者は発症までに数十年かかる場合があり、病状にも多数の派生形がある。

症状は一進一退するが、医師が治療法を決定するには患者の生活から断片的に得られた情報を基にしなければならない。こうした背景もあり、患者の筋肉のこわばりや震えを止めるために必要な薬の適正量を特定することが難しくなっている。

このパーキンソン病を対象にしたンドゥカのプロジェクトの狙いは、病の進行について医師がより詳細で長期的な視点をもてるようにすることにある。このプロジェクトは、英政府の研究資金助成機関である「Innovate UK」の資金提供を受けており、ドイツの音声分析スタートアップであるaudEERINGと共同で進められている。

この研究の最初の試験は、パーキンソン病患者50人と対照群に眼鏡を装着してもらい、実験室と同等の条件で実施された。19年に予定される2回目の試験では、20人が自宅で眼鏡を装着して進められる予定だ。

うつ病などの予防にもつながるか

ンドゥカは収集したデータを利用して、パーキンソン病患者のための「デジタルな表現型(digital phenotype)」を作成できればと考えている。ここでいう表現型とは、個人に固有の観察可能な特性や挙動を描写したものを指す。遺伝子型がいかに遺伝特性を表現するか、という仕組みと似たものだ。

デジタル表現型を作成する際には、スマートフォンなどのデバイス(今回の場合はスマート眼鏡だ)を利用して、データの収集とプロファイルの構築を行う。時間の経過と投薬量に応じてデジタル表現型が変化する様子を把握することで、医師は投薬量をより正確に細かく調整できる。

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