PR

WIRED WIRED

道路に「白線」だけの専用レーンでは、自転車をクルマから守れない:調査結果

 道路に白線を引いて自転車専用レーンをつくるだけでは、自転車に乗った人は安全とは言えない--。そんな調査結果を、このほどオーストラリアの研究チームが発表した。それどころか、専用レーンがない場所のほうがクルマが自転車と距離を置いていたとのデータも示されている。これらの調査結果からは、より“エコ”な移動手段への移行における「都市」の課題が浮き彫りになったかたちだ。

TEXT BY JONATHAN M. GITLIN

TRANSLATION BY MITSUKO SAEKI

Ars Technica(US)

BRITTA PEDERSEN/GETTY IMAGES
BRITTA PEDERSEN/GETTY IMAGES

自転車の利用機会をもっと増やすべきだという意見には、もっともな理由がいくつもある。運動量の多い人ほど健康で認知機能テストの成績もよいというのも、そのひとつだろう。気候変動問題に取り組む意識があるなら、短距離の移動手段をクルマではなく、自転車や徒歩に切り替えたほうがいい。

とはいえ、どれも安全性を確信できて初めて成立することだ。そうでなければ、重量が2トンもあるパワフルな鉄の塊に乗るのをやめてペダルをこぐなんて、いったい誰がするだろうか。

その理屈からいえば、クルマの往来からサイクリストを守る自転車専用レーンが必要ということになる。だが、ペンキで道路に線を引くだけでは不十分かもしれない。オーストラリアのモナシュ大学の調査によると、道路に自転車レーンの塗装を施すだけでは、逆効果になる可能性があるという。

速度制限と幅寄せの意外な関係

調査はメルボルン市内のサイクリスト60人の行動を追跡し、データを集めるかたちで実施された。サイクリストにデータ収集用のセンサーとカメラを装着してもらったうえで、普段と同じコースを1~2週間にわたり走ってもらった。

具体的には、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)で自転車の位置を把握しながら、走行中の自転車とこれを追い抜いたものとの間隔を超音波センサーで測定した。また、そのときの状況をカメラを用いて分析した。追い越したのはクルマだったのか、自転車が専用レーン内を走行中の出来事だったのか--といったことだ。

調査対象となった2017年4月~8月の期間で通算422回の走行距離は、計3,294マイル(約5,301km)に達し、このうち91パーセントが自動車道路でのことだった。

このデータ全体からは、クルマが自転車を追い越した事例が18,527件確認された。このうち1,085件で自転車とクルマとの間隔は39インチ(約100cm)に満たず、これはオーストラリアの法律では「至近」とみなされる。

また、追い越し事例のほとんどは、時速60kmの速度制限エリア内で発生していた。その際の車両と自転車との間隔の平均は、75インチ(約190cm)である。

一方で、時速40km制限の区域では66インチ(約168cm)、時速50km制限の区域では67インチ(約170cm)といった具合に、速度制限の厳しいエリアで距離が縮まることがわかった。そして困ったことに、時速100km制限の区域になると、ドライバーたちは60インチ(約152cm)と、また幅を寄せがちになったのだ。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ