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全米記憶力選手権の王者が明かす、「記憶をハック」するテクニック

 記憶力の大会で優れた成績を残す人たちは、どうやって物事を記憶しているのだろうか--。全米記憶力選手権で4度の優勝を果たしたネルソン・デリスは、覚えにくい抽象的な概念を具体的かつ奇妙なイメージへと“翻訳”する手法で訓練を積んだことで、「別段すぐれてはいない」という記憶力を飛躍的に向上させた。いかに記憶を支配し“ハック”していったのか、そのテクニックをデリス自身が解説する。

TEXT BY NELSON DELLIS

TRANSLATION BY TOMOYUKI MATOBA/GALILEO

WIRED(UK)

CSA IMAGES/GETTY IMAGES
CSA IMAGES/GETTY IMAGES

記憶の世界を巡るわたしの旅は、ひとつの記憶から始まった。衝撃的で、胸が痛む記憶だ。

フランスにいる祖父母を訪ねたわたしは、夕食のテーブルについていた。祖母はその数年前にアルツハイマー病と診断されていた。前回会ったときの祖母はすでに、杖をどこに置いたか思い出せなかったり、タルトを冷蔵庫に入れたのかカウンターに置いたのかわからなかったりしていた。

そして今回、テーブルのわたしの向かいに座っていた祖母は、祖父のほうを向いて、わたしがどうしているか、近々訪ねてくる予定はあるかと尋ねた。祖母はわたしが目の前にいることに、まったく気づいていなかったのだ。わたしは祖母の忘却の深さに衝撃を受けた。愛する人に忘れられた経験は、そうそう忘れられるものではない。

記憶力選手権に出る人々は、天才ではない

そのとき以来、わたしは祖母の、そして自分自身の頭の中で起きていることについて考え続けた。帰宅後のわたしは、自分自身をパワーアップさせる方法、具体的には脳のはたらきを強化する方法を探し始めたのだ。

わたしは、すぐれた記憶力には人生を変える可能性があると考えていた。自分の記憶力を強化したらどうなるか、あるいは祖母のように、その力を失ったら何が起きるかを考えたのだ。そこで、わたしは1冊の自己啓発本を手に取った。それは「無限の知的能力」と「レーザー並みに研ぎ澄まされた集中力」が実現できると謳う本だった。

この本を手にするまで、わたしは「全米記憶力選手権(USAMC)」のように記憶力を競う大会が存在することすら知らなかった。大会の入賞者たちが揃って2,500年前から伝わる同じ記憶法を使っていることも、もちろん知らなかった。また、わたしの(そして大方の人の)予想に反して、トップ競技者たちは映像記憶をもつ天才ではなく、脳自体は平均的だが、高度なトレーニングによって記憶術をマスターした人々だったのだ。

わたしはそれまで、記憶力は変えられないと思っていた。わたしの記憶力は別段すぐれてはいないし、大幅に向上させることが可能だとは思ってもいなかった。それでも、疑念を脇に置き、ひとまず実践してみると、すぐに記憶術の効果は本物だとわかった。

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