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危険な外来種「ヒアリ」は、地球温暖化の影響で増え続けている

 人間を襲うこともある危険なアリの外来種「ヒアリ」が、世界的に増殖している。貨物コンテナとともに日本にも“上陸”するケースがあるヒアリは、昆虫全般が生息地の破壊や気候変動といった人間がもたらす変化で数を減らすなか、なぜ勢力を拡大しているのか。それは洪水でも群れをなして泳ぐほどの恐るべき適応力と生命力、そして人間やほかの生物まで襲う侵略性ゆえだ。

TEXT BY MEGAN MOLTENI

TRANSLATION BY TOMOYUKI MATOBA/GALILEO

WIRED(US)

ヒアリは世界で最も侵略性の強い外来種だ。英語での「ファイヤーアント」という名の通り、刺されると焼け付くような痛みを起こす毒が注入され、生きている組織を破壊する。

複数の集団が群れになり、子ジカや鳥のヒナ、爬虫類など、その顎で噛みつくことができるほとんどすべてのタンパク源をむさぼり食う。数千匹の働きアリたちが協力して、数万平方メートルにわたって縦横に交差する地下トンネルを形成する。そしてその生息地は着実に広がりつつある。

ヒアリが急増している状況は、昆虫界の全般的な傾向とは逆行している。小さくて動きが速く、隠れがちな昆虫たちの個体数を数える技術は完全ではないとはいえ、生息地の破壊や気候変動といった人間がもたらす変化によって、昆虫が全般的に減っていることは間違いないからだ。

ドイツのある研究では、1989年から2017年までの間に、昆虫の生物量が75パーセント減少したとされている。チョウの個体群を調べたドイツの別の研究によると、1840年には117種あったものが、2013年には71種にまで減少したという。14年に発表された『Science』誌の評論では、積極的に状況を把握されている無脊椎動物種の大半が、半分近く数を減らしていることが明らかになっている。

温暖化で生息地を北へと拡大

一方でヒアリにとっては、こうして生物全般の数が大きく減っていることは恩恵となる。というのも、ヒアリはほかの生物が姿を消したあとの生態系のすき間を埋めるのが得意なのだ。ほかの昆虫たちがゆっくりと消えていった地域でコロニーを築いたり、洪水のような大災害の直後に大繁殖したり、人間による一般的な土地整備のような規模の小さな混乱が起きたあとで縄張りを広げたりできる。

水上に群れをなして浮かぶヒアリ。こうして洪水のあとにも大移動する。

ヒアリの研究で知られるフロリダ州立大学生物学教授のウォルター・シンケルは、「人間はヒアリにとって最良の“友人”です」と語る。「米南部で芝生の庭をもつ人は、ヒアリが喜ぶ生息地をつくってあげたことになりますから」

もともと高温多湿の環境を好むヒアリは、スプリンクラーや水路の周囲に巣をつくることで乾燥した気候にも対応できる。人間がもたらす気候変動によって世界の気温が上がり、ハリケーンや山火事が激化するなか、ヒアリたちはそうした環境をかえって恩恵にしている。こうしてヒアリの生息地は北へ、そして米国では西へも着実に広がっているのだ。

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