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日本にキャッシュレスが浸透しない理由には、文化的な要因がある

 先進国であるはずの日本だが、ことキャッシュレス化に関しては中国や韓国に後れをとっている。そこには実は、日本ならではの文化的な要因があるのではないか--。このほど日本を訪れたハーヴァード大学法科大学院教授、スーザン・クロフォードによる考察。

TEXT BY SUSAN CRAWFORD

TRANSLATION BY CHIHIRO OKA

WIRED(US)

東京で開催された「ものづくり・匠の技の祭典」で生け花のパフォーマンスを披露する華道家。PHOTO: KIYOSHI OTA/BLOOMBERG/GETTY IMAGES
東京で開催された「ものづくり・匠の技の祭典」で生け花のパフォーマンスを披露する華道家。PHOTO: KIYOSHI OTA/BLOOMBERG/GETTY IMAGES

東京の「日本橋」という地名は、江戸時代からある古い橋にちなんだものだ。現在の橋は明治時代に建設されたものだが、いまは橋の上に高速道路が走っていて美しい景観が損なわれてしまっている。

日本橋は東京のビジネス街の一角だが、外国人がここで現金を手に入れる場所を見つけるのはかなり難しいだろう。

最近、あるイベントでの講演のために東京を訪れる機会があった。ATMで現金を下ろそうとしたところ、最初の2台は米国のデビットカードは使えず、3台目でようやく1万円札を入手することができた。この美しい紙幣には、慶應義塾大学の創始者である福澤諭吉という学者の肖像画があしらわれている。

現金が必要だったのは、日本の小売業者は現金での支払いを望むからだ。韓国では店舗決済のほぼすべてがキャッシュレスで、中国でも電子マネーが急速に普及するなか、日本の小売販売の8割は依然として現金で決済されている。これは、この国では紙幣と硬貨が人々の日常生活に深く根付いているためだ。

現金は文化と強い結びつき

日本では現金は文化と強い結びつきがある。例えば、お年玉と呼ばれる伝統があり、子どもたちは1月1日に綺麗な封筒に入った少額の現金をもらうことになっている。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)准教授の櫻井美穂子は、「子どものころはお年玉が本当に楽しみでした」と話す。

櫻井は現金には安心感があるとも指摘する。また、結婚式などのお祝いを送る習慣のある行事では、やはり現金が使われる。祝い事の席では折れ目の付いた古い紙幣はよくないとされ、新札を用意しなければならない。

日本の店舗スタッフは釣り銭の計算が非常にうまいため、キャッシュレス社会になったからといって、小売業界が活性化されるということはないようだ。櫻井は「お釣りの金額については、お店の人を完全に信頼できます」と言う。彼女は大学院時代に米国に滞在していたが、現地で暮らした経験から、米国の小売店のレジ係には日本のような安心感は抱けないと感じたという。

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