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恐ろしいほど「辛い」成分が、末期がん患者を痛みから救う? 植物由来の新しい鎮痛剤の威力

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末期がん患者が痛みから解放される?

RTXの作用は、ひざなど局所的な患部に注射した場合と基本的に同じだ。ただし、中枢神経に近いため、鎮痛作用は全身にはたらく。「多くのがん患者の場合、体のさまざまな部位から痛みを取り除く必要があります」と、イアダローラは言う。「このため、下半身の神経が集中している部位に注射するのです」

ところで、痛みという進化には理由がある。痛みとは、体に害を及ぼしかねない危険を自覚するために欠かせない重要なツールなのだ。例えば、火傷するほど熱いコーヒーの入ったカップを持っているときなどである。もちろん痛みは緩和したいが、鎮痛効果が強すぎるのも問題ではないだろうか?

関節痛患者の場合は心配ない。注射の効果は患部にだけ作用するので、体のほかの部分の痛覚に影響はないからだ。さらに終末期医療の場合は、中枢神経への注射が、待ち望まれていた「痛みからの解放」をもたらしてくれる可能性がある。

NIHの神経外科医ジョン・ハイスは、「ほかのすべての選択肢を試して、何ひとつ効果がなかった痛みを抱えるがん患者に、この方法を適用しています」と言う。「食品医薬品局(FDA)は余命わずかながん患者に限って、RTX投与を許可しています。痛みと温度の感覚を失うことで、有害な影響があると懸念されるからです」

高揚感も依存性もない

RTXの強みは特異性にある。いわば痛みへの狙撃ライフルであり、これに比べればオピオイドは手榴弾だ。オピオイドは特定の種類の感覚ニューロンではなく、全身の受容体に作用する。「このためオピオイドには、便秘や鎮静、呼吸障害といった副作用があるのです」と、マネスは言う。

加えて、オピオイドは常用しなくてはならないが、RTXはそうではない。「神経線維を破壊するので、一度投与すれば効果は長期間持続します」と、マネスは言う。「もうひとつ重要なのは、強化(条件づけ学習によって、結びつきが強まる働き)が起こらないことです。高揚感を伴わないため、依存性は一切ありません」

とはいえ、RTXがもし広く普及しても、マラソン後のひざの痛みに使うのはやめたほうがいい。この強力な薬は、重篤な症状を治療するためのものだ。しかし、植物に備わるこの必殺の武器は痛みの根源に直接作用することで、オピオイドなどの「手榴弾型」鎮痛剤の削減に貢献する可能性を持っている。

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