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恐ろしいほど「辛い」成分が、末期がん患者を痛みから救う? 植物由来の新しい鎮痛剤の威力

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カリフォルニア大学サンディエゴ校の麻酔医・薬理学者でRTXを研究するトニー・ヤクシュは、「唐辛子を舌の上に置いたときに熱く感じるのは、舌が焼けているからではありません」と言う。「単に活性化している感覚ニューロンの軸索が、舌を火傷した場合に活性化するのと同じものだからです」

RTXはカプサイシンに似た物質だが、500~1,000倍の活性をもつ。RTXはTRPV1に結合すると、神経細胞のイオンチャンネルをこじ開け、大量のカルシウムを流入させる。これは細胞にとって有害であり、痛覚神経末端の不活性化が起きる。

RTXはTRPV1に特異的であるため、ほかの感覚ニューロンに影響はない。「作用が限定的なのは、RTXがTRPV1にのみ作用すること。そしてTRPV1は痛みを伝達する一部の神経線維にしか存在しないためです」と、ヤクシュは説明する。「このため、例えば触覚や歩行能力を損なうことなく、痛みだけを選択的に除去できるのです」

つまり、ひざの痛みの治療なら、患者のひざの組織に直接RTXを注射すればいいということだ。もちろん、患者には最初に麻酔を施す。そうでなければ、RTXが激痛をもたらすからだ。しかし数時間後、注射による痛みが減退したあとは、患者のひざはもう痛みを感じない。

犬の実験では効果が半年近く持続

このことは、犬を使った実験ですでに実証済みだ。

「効果は非常に強力で、しかもわたしが当初考えていたよりも、はるかに長く続きました。飼い主が再処置の希望を申し出るまでの期間は、中央値で5カ月ほどでした」と語るのは、米国立衛生研究所(NIH)でRTXの研究を行うマイケル・イアダローラだ。「足を引きずっていた犬たちが、元気に走り回るようになったのです」。犬の痛みがぶり返したことに飼い主が気づくまで、18カ月が経過したケースもあった。

これらは局所的な痛みへの処置だが、全身性の痛みに対してはどうだろう? 例えばがん患者は、終末期において苦痛にさいなまれる場合がある。ここでもRTXが強力な鎮痛剤として有効かもしれない。NIHはいままさに、骨がん患者を対象に、RTXの臨床試験を実施している。

NIHの麻酔医アンドリュー・マネスは、「脊髄麻酔を注射する場合と同じ方法を採用しています」と言う。「ポイントは、脊柱そのものではなく、脊柱の周囲の液体に注入することです」。脊髄に直接注射すれば、損傷は避けられない。

これらの処置はすべて麻酔下で行い、覚醒時、患者には短期的に鎮痛剤が処方される。「最初の激痛を乗り切るためです。数時間後に鎮痛剤の効き目が切れ始めるころには、もはや痛みを感じなくなっています」

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