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AIは「わかる」が何かは「わからない」--松原仁、人工知能の本質をかく語る

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そもそもAIにおける倫理の研究が進む背景には、AIのコントロール問題がある。ニック・ボストロムの『スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運』では、人間がAIをコントロールすることがいかに難しいかを描いている。例えば「人類を存続させる」という目的を達成するために、増えすぎた人類を大幅に間引く判断をAIがするシナリオも想定できるのだ。

「人類は自分たちよりも賢い存在に出合ったことがありません。AIが何を考え、どんな結論を下すのか、そのアルゴリズムの中身はまだわからない部分も多いんです」

さらにAIの軍事目的での開発も進んでいる。アメリカ、中国、ロシアなどの超大国は自国の利益追求のためにAIを活用している。それらの活用に脅威を感じ、AIの急激な進化に懸念を示す研究者も多くいるという。

「さまざまな局面で、人間はAIを神として作ろうとしていると言われています。キリスト教やイスラム教はこれまでも人類の命運を神に託してきたわけですが、人類は今後、AIという神に託そうとしています」

旧約聖書の世界では、神が「人間は堕落している」と怒り、洪水を起こして、選んだ人間と動物だけをノアの箱舟に入れた。同じように、AIに世界の災いも救済も託そうという危ない領域に入りつつあるというのだ。危険だからAIの研究開発を辞める人も出てきている。しかし、一部の人々がAIの研究を止めようと訴えても、それは難しいと松原は考える。

「核兵器も廃絶の機運が高まっていますが、世界中から消える気配はない。それなら良い方向にテクノロジーを発展させるしかないわけです。ぼくはあまり悲観していません。これまで人類は生物としての絶滅の危機を何度も乗り越えてきましたから。AIが神に近づいて、人間同士の争いを止めさせる能力があれば良いのかもしれません。SF的ですが、AIが神のように見張っていて、人間同士が喧嘩や戦争を始めると、より強い力で制裁を加え、それが抑止力になって戦争を減らすという図です。

またぼくは人間よりもAIの方が妥当な倫理観をもってくれないかと期待しているんです。人は自分の信じている宗教と違う人なら死んでもかなわないと考えている人が、残念ながら多いんです。イスラム教とキリスト教の原理主義者は、自分の宗教を信じていない人は人間ではないと思っている。永遠に続く宗教対立を人類では解決できないとしたら、AIの助けを借りるのは有力な手かもしれないと思います」。

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