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AIは「わかる」が何かは「わからない」--松原仁、人工知能の本質をかく語る

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 “わかる”とは錯覚か幻想

AIに星新一のようなショートショートを書かせるという彼の研究でも、AIに文章が“わかる”のかという問題が生じる。

「AIにとって、文章を読んで“わかる”というのは、その文章に関して質問した時に、答えられるということです。しかし、その仕組みは、人間が本当にわかっているのとは違います。人間は“意味がわかる”と気楽に言いますが、“それはどういう意味ですか?”“本当ですか?”と問い直す必要があります。単にその文章に関する質問に答えられる以上に、その文章の行間に何か意味があると人間は思っているわけです。では“その何かとはなんですか?”と問い正したいのです。

刺激的な言い方をすると、“わかる”とは錯覚か幻想かもしれない。しかし、技術の進歩によりAIが進化し、人間と相互にスムーズなやり取りができるようになると、齟齬が起きない限り、人間は互いの言葉の意味がわかっていると思うように、AIも意味がわかっていると言えるかもしれないですね」

 AIの手のひらの上で踊らされる幸福

AIとスムーズにやり取りするどころか、AIのほうが人間よりも自分のことをわかってくれるのではないか? そんな人とAIの相思相愛的な関係を描いたのが、スパイク・ジョーンズ監督作『her/世界でひとつの彼女』(2013年)だった。サマンサと呼ばれるAIと主人公の男性ライター、セオドアはありとあらゆる相談をし、彼の原稿の代筆もサマンサにやってもらい、その本は絶賛される。セオドアはサマンサに深い恋愛感情を抱く。しかし、サマンサは実は彼を含めて、641人と付き合っていると告白するのだ。

「AIがさまざまな推薦、助言をする世界になりつつあるのですが、それが悪いこととも言えないと思うのです。例えば、お釈迦様の手のひらの上で踊らされている孫悟空のように、旦那が自由に生活しているようで、実は妻の手のひらの上みたいな日本人男性は多いですよね。また今のガールフレンドを好きになったのは自分の判断だと思っているけれど、実はさまざまな環境的要因、情報的要因がそうなるように図っていることが多いわけです。

これからはAIがますます人々を手のひらの上で躍らせるようになると思います。それが中途半端だと、人は自由度が失われたと感じてしまいます。しかし本当に自由な社会がいいとは限らないのは、今のアメリカを見ればわかるわけです。もちろん、旧来の社会主義や共産主義が良いとは思いませんが、新しい社会体制をAIがバックヤードで支えていくことはできるでしょう。

政治の世界に表立ってAI政治家が出ることはないでしょうが、政治家の背後にAIがいて、政治家が間違った判断をしないようにAIがサポートすることは起きるでしょう。それは完全な民主主義ではないかもしれません。ただ、人類の決定を人類自身が下すことを担保したまま、人類を良い方向にもっていくことはできるのではと思います」

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