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「月に水がある証拠」は10年前のデータにあった 新事実を“発掘”した研究チームの挑戦

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「見ようとしなければ、何も見えない」

研究チームはどのようにして、すでに手広く分析されてきたM3のデータから水の存在を確認できたのだろうか。

M3は月面の太陽光の反射を分析する機器だ。つまり、これまでの研究の多くは、太陽光が当たっている月面を対象としてきた。ところが今回のチームが挑んだのは、太陽光が届かない真っ暗な永久影である。つまり、通常の研究の真逆をいくもので、ある意味では無謀ともいえるものだった。

なかでも研究チームが着目したのは、永久影の周囲の地形だった。「アポロ計画の観察記録から、月面は細かい砂やゴツゴツした地形による反射光が散乱していることがわかっています」と、論文の主執筆者であり、米ブラウン大学とハワイ大学の研究者であるシュワイ・リー博士は語る。

永久影があるクレーターの壁や淵、そして周囲の高い地形が反射する太陽光によって永久影はごく微量ながら照らされている--。リー博士は、そのように考えた。もちろん、間接的に照らされているため、レーダーが検知できるシグナルは非常に弱い。このため多くの研究者は、M3のデータセットから水の痕跡を探し出すことを諦めていた。

「今回のような信号をデータとして扱うには、その信号が月面から来ているのか、それとも単なる機器のノイズなのかを慎重に見極める必要があります」と、ブラウン大学の地球・環境・惑星科学科の助教授であり、論文の共同執筆者でもあるラルフ・ミリケン博士は言う。

初期の分析結果は確かに水の痕跡を示していたが、それは機器のエラーシグナルである可能性は十分にあった。「シュワイの最初のデータを見たとき、興味深い結果だと思いましたが、100パーセント信じ切れていませんでした」

それでもリー博士は、根気よくさまざまな統計モデルを使って何度もデータを検証した。結果、機器のノイズが水の痕跡を再現することはほぼ不可能に近いことが判明した。その後も、ほかの探査機のデータも取り入れた解析や検証モデルを通して、永久影内の水の観測に成功したのである。

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