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バッテリーが大容量化と「発熱問題」の解決を両立する日がやってくる

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待望の「全固体電池」は量産が実現するか

バッテリー業界の研究者は「全固体電池」と「リチウム金属電池」という言葉を同じような文脈で使うことがある。ひとつの電池で両方の技術を採用することができるからだ。また、全固体電池もEVへの利用の可能性から関心が高まっている。

全固体電池は、電極と電解液をリチウムイオン伝導性のあるガラスやセラミック素材に置き換えたもので、可燃性の高い有機電解液を使わない。このため、高温でも発火する可能性が低くなる(最初のほうでバッテリーの仕組みをしつこく説明したのは、これを理解するためだ)。また高温に耐えうるということは、理論的にはエネルギー密度も高くできることを意味する。

マサチューセッツ州ウーバンに拠点を置くIonic Materialsのアプローチは少し変わっている。電解液の代わりに、ポリマーやプラスティックといった物質にリチウムイオンを運ぶ役割をさせようというのだ。

IonicのCEOマイク・ジマーマンは、「正極と負極に関してはさまざまな材料が試されていますが、(電池開発において)本当に問題なのは電解液です。わたしたちはここを変えようとしています」と話す。ジマーマンはセラミックもガラスも割れやすく、また湿気にさらされるとガスが発生する可能性があるため、全固体電池の材料として理想的ではないと指摘する。

コンピュータサイエンティストでIonicに投資するビル・ジョイは、昨年8月に行われた『WIRED』US版とのインタヴューで、Ionicは低コストでつくれるアルカリ乾電池と、容量が大きく再利用も可能なリチウムイオン電池のいいとこ取りをするつもりなのだと説明している。

とはいえ、全固体電池が明日にでも実用化されるという話ではない。トヨタ自動車は昨年、大容量の全固体電池の開発に手こずっていることを認めた。4月には、日産自動車の専務執行役員で研究・先行技術開発を担当する浅見孝雄が、「現段階では(全固体電池の)開発は実質的には何も進んでいない」と発言している。

一方で、Ionicは開発中の技術の商品化にこぎ着けても自社生産は行わず、ライセンス契約する方針を示している。これは賢明な戦略だ。

仮に電池材料や、化学的および安全性の問題をクリアできたとしても、大量生産の可能な製造拠点を準備することがとてつもなく難しいというのは、電池業界では常識になっている。結局のところ、イーロン・マスクに匹敵するほどの資金がなければ、テスラのバッテリー工場であるギガファクトリーの自社版を建てるなど無理な話なのだ。

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