産経ニュース

がんは本当に血液1滴から検出できる? 米企業が示した「有望な結果」の実現度

WIRED WIRED

記事詳細

更新


がんは本当に血液1滴から検出できる? 米企業が示した「有望な結果」の実現度

種類により検出精度は80パーセントに

シカゴで開催された、世界最大級のがん研究者の年次集会である米国臨床腫瘍学会(ASCO)のカンファレンスで、Grailは循環セルフリー・ゲノム・アトラス(Circulating Cell-free Genome Atlas)研究の暫定結果を発表した。この研究にはこれまでのところ、ミネソタ州のメイヨー・クリニックやニューヨークのスローン・ケタリング記念がんセンターなど最先端の研究機関を通じ約12,000人が参加している。Grailによる高感度シークエンシング検査のプロトタイプの性能を示す、初めての機会だ。

Grailは、下位研究として3つの検査法のテストを行った。約1,600人の被験者のうち、およそ半数は、10種類の腫瘍においていずれかの診断を最近受けた患者である。残りは、がん患者ではない対照群だ。

最初のテストでは、約500種のがん関連遺伝子の変化に着目した。2つ目は、全ゲノムシークエンシングにより、がんの増殖につながるより大規模なゲノム再構成部位の特定を試みた。3つ目は、がんの原因遺伝子のスイッチをオンにするようなDNAの変異を解析した。

Grailはこれらの検査結果を、3つの対象群の間で比較できるようなかたちで示した。結果を総合すると、血液検査は、卵巣がんと肝がんの患者を80パーセントの精度で判別できた。リンパ腫と骨髄腫については、やや精度が落ちた。発見率が最も低かったのは乳がんで、25パーセント未満だった。

Grailの結果は、リキッドバイオプシー開発を行うほかのスタートアップに所属する研究者が『Science』誌などで発表したもの[日本語版記事]と同等だ。ただし、米国臨床腫瘍学会での発表はピアレヴュー(専門家同士が行う相互評価)を経たものではなく、元データの公開も義務づけられてはいない。

このため、Grailの結果の正確性には疑問の余地がある。同社は、査読つき科学誌で論文化する予定があるかどうか明かしていない。

Grailの臨床開発部門責任者であるアン=レネー・ハートマンは、「これは探索的研究であり、わたしたちは異なる種類のがんに対して検査がどれだけ機能するかを知りたいのです」と語った。「今後は検査法の効果検証の段階に進み、まだ診断されていない被験者のがんをどれだけ発見できるかを明らかにしていきます」

だが、リキッドバイオプシーで確実にがんを発見できると証明するのは、最初の一歩にすぎない。実用化にあたっては、がんが体内のどこに存在するのかある程度の情報を示し、誤診を減らす必要がある。

続きを読む

このニュースの写真

  • がんは本当に血液1滴から検出できる? 米企業が示した「有望な結果」の実現度