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量子コンピューターの「米中競争」が過熱 競り合うグーグルとアリババは量子超越性を達成できるか

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アリババの反証

中国のオンライン取引大手であるアリババの研究者たちは、これに異を唱えたのである。彼らは強力なサーヴァー群を使ってグーグルの新しいチップの性能をシミュレーションし、この米国企業が発表したプランを実行した。

その結果は、現在のコンピューターの構造がすっかり時代遅れになっていることを知らしめた。そして、グーグルの量子チップによる実証プランが、従来のコンピューターの域を超えるものではないことも示唆している。

「この未来のプロセッサーが量子超越性を達成するだろうと大きな期待が寄せられていました」と、アリババの量子研究室室長である施堯耘(シー・ヤオユン)はいう。「しかしわたしたちが出した結果から考えて、どうやらこの騒ぎは楽観的すぎたようですね」

彼によれば、アリババがこの結果を導き出せたのは、多数のコンピューターを同時に稼働させ、量子コンピューティングの工程をシミュレーションするという作業を分割する方法を改良できたからだという。

コロラド大学教授のグレアム・スミスはアリババの結果に感嘆し、Twitterに「ワオ」と書き込んだ。彼は『WIRED』US版に対し、グーグルのブリストルコーンは現在のところ最も性能の高い量子コンピューターといえるだろうが、アリババの出した結果から見て、エラーレートがいまだに高すぎるように思える、と語った。「量子超越性達成の瞬間は、まだ少し先になりそうですね」とスミスはいう。

これに対しグーグルのボイクソは、アリババのシミュレーションが精度に欠け、決定的なものとはいえないと反論している。アリババのようなより優れたシミュレーション方法についての研究も、グーグルが量子超越性の検証を続けてきた理由のひとつであり、それにはハードウェアを大幅にアップグレードする必要はないはずだとボイクソはいう。

USCのヘンは、これによって今度は研究者たちが従来のコンピューターからさらに多くのものを引き出そうとするはずだという。「ゴールの位置はさらに変化しつづけるはずです」と彼はいう。

アリババは量子コンピューターの分野で急成長を見せているが、これは中国が技術面にかける野望を示すものでもある。一方、グーグルは2006年以来量子コンピューターの開発に取り組んでおり、当初はカナダの量子コンピューター企業D-Waveのハードウェアを使っていた。

中国のアリババは15年にこの分野に進出し、国の支援する中国科学院と組んで新たな研究施設を開設した。今年2月には、11キュービットのチップをインターネットで試験的に販売した。さらに中国政府は、100億ドル(約1兆845億円)を投じ、新たに国営の量子研究所を設立した。

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