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ハワイ島の火山活動が活発化 それでも人々は“脅威”と暮らし続ける

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溶岩の流れは「予測」できるが、「対策」はできない

こうしたことは、80年代からたびたび起きている。

テキサスA&M大学の名誉環境心理学者で、火山リスクに対する人の態度を専門に研究しているマイケル・リンデルは、次のように話す。

「キラウエアの溶岩は一定の距離にわたって溢れ出し、止まります。次に溢れ出すとき、溶岩は同じ通路を使うのではなく、一度、火道の方向に戻り、違う場所から溢れ出すのです。火山学者たちも、マグマの供給系についてはまだ完全に理解できていません。かなりいい線まではいっているのですが、何度も予想外のことが起きています」

現在の科学をもってしても、溶岩は予測不可能だ。供給系の配置や、アア溶岩からパホイホイ溶岩への変化の仕組み(あるいはその逆)を真に理解している人間はいない。

コンピューターは地形学的に溶岩の流れる道筋を予想することはできるが、そのスピードや道筋の幅まではわからない(USGSが公開しているハワイ島の火山のハザードマップも、92年以来、更新されていない)。

「火道からどのくらいの速さで出てくるのか、どのくらい熱いのか、冷却にどのくらいかかるのか、どんな鉱物の結晶を含むのか。これらが、溶岩の流れ方を予測するパラメーターになります」と、ドリーニュは言う。

ただ、もし予測できたとしても、できることは少ない。

火山を念頭にゾーン構成をしたり、建築基準法を定めたりする人はほとんどいないとドリーニュは言う。もし誰かが頭に入れていたとして、それが何になるというのだろう? 

確かに屋根の勾配を35度以上にすれば、火山灰は落ちるだろう。でも溶岩はどうする? 円型の建物を建てればよいだろうか。

これに関する数少ない分析のひとつは、2014年のカーボベルデ共和国のフォゴ山噴火に関する研究だ。この噴火で流れた溶岩は、円型の家を外から圧迫し、つくりを強化したという。一方で、平壁はただ押し倒されただけだった。

それでも「火山の近くに住みたい」理由

火山は静かなときもあれば、そうでないときもある。

「キラウエア火山のハレマウマウ火口に住むというハワイの火山の女神・ペレは、2つの性格を併せもつとされる」

過去にハワイ火山観測所のトップを務めたジェームズ・カウアヒカウアとロバート・ティリングは、そう記している。2つの性格のうちのひとつは若く美しい一面、もうひとつは老いた無慈悲な一面だ。

ハワイ火山観測所は、事態が悪化するのではないかと危惧している。溶岩移動の最初の予兆は、キラウエア山頂にある噴火口の溶岩レヴェルが急速に低下したことだった。溶岩レヴェルが地下水の位置よりも低くなれば、水蒸気が生まれて爆発的噴火につながる可能性があると、研究者たちは記者会見で警告した

近郊の地熱発電所は、引火性の燃料であるペンタン12,000ガロン(45,425リットル)を、念のため溶岩の届かない工業団地に移動したと『ワシントン・ポスト』が伝えている。

このような脅威があっても、人々の火山への姿勢はほかの災害への反応とあまり変わらない。ドリーニュは火山を愛している。一方で、竜巻が発生する場所に住むなんて考えられないと言う。

リンデルは、もしハワイ島に住むなら、絶対に火山から離れた北側にすると言う。南側は「生活コストが恐ろしく安く、とても楽しい生活が送れる。住民にとっては、火山も受け入れられる程度のリスクなのです」と彼は話す。

「火山周辺に住む人は、ある点でカリフォルニアのヘイワード断層に住む人や、洪水の多いヒューストンに住む人と変わらないのです。リスクの高さは承知の上で、再建しているのですから」

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