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工場から“墓場”まで、飛行機の知られざる一生 「真上」から切り取った美しい写真

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 ほとんどの乗客は、飛行機の寿命について考えることなどないだろう。あるとすれば、不都合が起きたとき。つまり換気口から水滴が落ちてきたり、トイレのドアが閉まらなかったり、機体が乗客を焦らせるような大きな音を出したときだ。

 しかし、人に寿命があるように、飛行機にも始まりと終わりがある。写真家のマイク・ケリーが「Life Cycles」で写し出すのは、そんな飛行機の一生だ。このシリーズは、工場や空港、そして廃機置き場の姿を上空から美しくとらえている。

きっかけは「飛行機の墓場」との出会い

 「ターミナルから一瞥する以外で飛行機の人生を目にする人は、そう多くはいません」と、ケリーは言う。「飛行機の姿やスケール、複雑さをターミナルとは違った視点から写し出すのが、わたしは大好きなのです」

 生まれたばかりのピカピカの飛行機は、これから何万時間というフライトをこなすことになる。しかし、飛行機は着陸や離陸のたびに気圧によって劣化していく(エンジニアたちが呼ぶところの“金属疲労”だ)。ボーイング767型機であれば、機体分解の恐れが出始めるまでの期間は20~30年ほどだ。

 航空会社は、役目を終えた機体を飛行機の墓場にもっていく。飛行機はそこで解体され、廃棄される。

 「砂漠のど真ん中にあるコンクリートのうえで、飛行機は処理機によって文字通りバラバラにされます。その後金属は売られ、ジュース缶に生まれ変わるのです」と、ケリーは言う。

 ケリーはボストンで過ごした幼少期から航空機に夢中だった。ケリーの父親は、彼をよくボストン・ローガン空港に連れていってくれた。彼らはそこでクルマの屋根に寝そべり、頭上を飛ぶ飛行機を眺めていたのだった。建築写真家として働くため2010年にロサンゼルスに移り住んだ彼は、ロサンゼルス国際空港でカメラ片手にこの“儀式”を再開した。

 「Life Cycles」のアイデアを思いついたのは、友人が彼をモハーヴェ砂漠にある飛行機の“墓場”に連れて行ったときだ。そこでは役目を終えた何百ものボーイング機やエアバス機が、赤い砂の上で風に吹かれてきしんでいた。「巨大な航空機の間を歩くのは、本当に非現実的な体験でした」と彼は振り返る。

ヘリコプターにぶらさがっての撮影

 2017年8月、彼は飛行機の誕生と活躍、終わりを撮影するためにヘリコプター7機をチャーターした。

 シアトル近くにある2つのボーイングの組み立て工場で彼が目にしたのは、「できたてほやほやのきつい匂いが漂う」旅客機が、最初のフライトに向けて塗装されテストされる様子だった。ロサンゼルス国際空港の上空からは、活躍中の航空機がターミナルにドッキングする様子や誘導路を滑るように移動する様子、忙しく動くトラックや、燃料補給やメンテナンスで歩き回る作業員たちをとらえた。

 最後に彼が訪れたのは、南カリフォルニアにある2つの墓場だ。彼は機体や翼、解体されたほかのパーツの山の上を飛び回った。

 ケリーが好む真上からの写真を撮るには、航空管制からの特別な許可が必要になることが多い。彼はヘリコプターの操縦士に機体を60度ほど傾けてもらい、5点式ハーネスをつけて開いたドアからぶら下がった。デジタル一眼に目を密着させた彼は、ヘリコプターが急カーヴするなか何度もシャッターを切った。

 風の音を遮るため、耳栓をし、さらにそのうえにノイズキャンセリング機能のついたヘッドフォンをしていたという。「当時肩くらいまで髪を伸ばしていたのですが、風であまりに髪が絡まるので切る羽目になりました」と彼は話す。

 人生の1コマ1コマに、そのとき固有の美しさが宿っている。工場で撮影された写真は、クリーンで明るい。空港で撮影されたものは、灰色で産業的な印象を受ける。飛行機の墓場で撮られた写真は、奇妙なほど非現実的だ。

 そしてそれらが一緒になったとき、あなたが飛行機に乗る短い時間の外で機体に何が起こっているのかを、写真から知ることができるようになるのだ。

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