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気ままに見える牧場の牛たちは、実は「葛藤と確執」に満ちていた--数理モデルを用いた解析で判明

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気ままに見える牧場の牛たちは、実は「葛藤と確執」に満ちていた--数理モデルを用いた解析で判明

「理論研究のいいところは、複数の条件で実験と観察を行うよりもコストが抑えられることです」。論文共著者のひとりであるカリフォルニア大学ロサンゼルス校の数学者、メイソン・ポーターは言う。「コストは金銭的なものだけではありません。動物を対象とする実験は、実験の正当性が精査されることがあります。コンピューター上で牛の研究をするぶんには倫理的問題は生じないのです」

もちろん、モデルは現実世界のすべてを教えてくれるわけではない。だが、現実世界で行う価値のある実験がどんなものかを判断するのに、数学はおおいに役立つ。

急成長のまっただなかにある複雑系科学だが、その定義は正直なところ複雑だ。「わたしが気に入っている定義は、最高裁判所がポルノについて下した判決文のなかの、『ポルノ』という言葉を『複雑系』に置き換えたものです」とポーターは言う。つまり、「見ればそうとわかる」というものだ。

今回の牛の研究の場合、複雑系とは要するに、それぞれの個体の行動が群れの創発的行動を生み出すことを指す。中間管理職が好む言葉を使うなら、シナジー(相乗効果)というやつだ。

研究者たちは、生態系に蓄えられた膨大な量の情報の解析に取りかかっている。空を舞うムクドリの大群や、バクテリアの規則的な旋回、魚の群れの動き。これらは始まりにすぎない。複雑系科学はやがて、鳥の大群やおなかをすかせた牛の群れよりもはるかに複雑な相互作用を、研究者がモデル化する際の指針となるだろう。その対象とは、ひとつの種ではなく、壮大なスケールで展開する生物種間の相互作用だ。

だが、いまはとりあえず、牛を見直すことにしよう。牛もいろいろ考えているのだ。

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