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気ままに見える牧場の牛たちは、実は「葛藤と確執」に満ちていた--数理モデルを用いた解析で判明

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気ままに見える牧場の牛たちは、実は「葛藤と確執」に満ちていた--数理モデルを用いた解析で判明

どの牛の群れにも、大小さまざまな個体がいる。たとえば、オスはメスよりも大きくなる傾向にあるし、子牛は成牛よりも食べる量が少ない。そのため、小さな牛ほど早く食べ終わり、早く消化し、次の場所に移動しようとする。「個々の牛のニーズと、群れ全体のニーズの間に、ある種の対立があるのです」。そう説明するのは、今回の研究論文の共著者のひとりで、クラークソン大学複雑系科学研究センター所長を務めるエリック・ボルトだ。

ボルトらは、このようなせめぎ合いがもたらす結果をモデル化した。大きな群れは、食べるのが速い牛と遅い牛の2つのグループにわかれる傾向がある。それに加えて、一部の個体は群れから群れへとわたり歩く。これは一定のペースで食べたいけれど、安全のためには群れの中にいるべきという葛藤に直面するためだ。「どちらを選んでも、最高の幸せは手に入らないのです」

この研究の興味深いところは、研究者たちが哀れな大学院生をフィールドに送り込み、何カ月も牛を観察させたわけではないことだ。研究チームは、個々の牛の状態変化をモデル化した先行研究に基づき、数学的に答えを導き出した。たとえば、満腹になったら寝そべって休む、というように。

「このモデルのユニークなところは、牛をある種のコンデンサーとして扱っている点です。貯め込んで飽和すると、放電し次の状態に変化します」と、ボルトは述べる。「バウンドするボールのようなものとも言えます。飛んでいったボールは、地面に当たると、その衝撃で状態が切り替わり、また別の挙動を示します」

いろいろな意味で低コストな実験

今回の研究は、この原理を群れ全体に拡張し、複数の状態をとりうる複数の牛が影響を与え合うとき、どのような群れのダイナミクスが生じるかを検討した。つまり、牛の生物学に、いわゆる創発的特性を見出そうというのだ(創発とは、部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が全体に現れること)。

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