PR

産経WEST 産経WEST

【勇者の物語~「虎番疾風録」番外編~田所龍一】(174)最初の暴挙 巨人以外の指名拒否 突然の要求 

巨人以外は指名拒否。報道陣に頭を下げた船田元衆議院議長
巨人以外は指名拒否。報道陣に頭を下げた船田元衆議院議長

 江川の代理人である元衆院議長の船田中に少しでも好印象を持ってもらおうと、各球団の〝船田詣で〟が激しくなった。東京・平河町の船田事務所には連日、各球団の関係者が訪れた。

 スカウトだけではなく球団の代表者クラスがやってきた。ヤクルトの相馬和夫球団代表は「ボクが栃木県足利市の自民党支部長をしているとき、船田先生は県の支部長をしておられてねぇ、顔見知りなんだ」といそいそと部屋に入っていった。逆に厳しい表情で臨んだのが、地理的条件や球団経営面で江川サイドから最も敬遠されるとみられたクラウンの中村長芳オーナーだった。

 ドラフトまで「あと3日」に迫った11月19日、「事件」が起こった。突然、報道関係者が招集され、船田事務所で〝緊急会見〟が行われた。その席上、船田自らが「巨人以外の球団の指名はご遠慮願いたい」と頭を下げたのである。

 その場に集まった50人以上の報道陣は色めきたった。

 --つい先日、意中の球団は3球団と言ったではないか

 「巨人以外は江川君を国民的なスポーツのアイドルとして育てるのにふさわしくない球団ということです。本人の希望でもある」

 --いったい、どうしろというのか

 「ドラフト前に各球団で話し合い、結論めいたものを出してほしい」

 --他の球団にそんな話が通るとは思えないが

 「巨人以外から指名があった場合には、改めて江川親子と話し合い、善処したい」

 なんとも身勝手な要求である。というより、そんな〝予防線〟が通用すると思っていること自体が驚きだった。くじ運に恵まれた球団が江川を諦めるわけもなく、ましてや「巨人さん、どうぞ」と指名を巨人に譲るわけがない。マスコミも世間も船田発言の裏に何かフェアでないものがあるのでは…と詮索した。

 「ドラフトの趣旨からいって、事前にそんなことを言うべきではない。プロ野球界で決めたルールを崩すわけにはいかない」

 南海の森本昌孝球団代表は毅然(きぜん)とした態度でこう語った。これが、プロ野球界の総意だった。                     (敬称略)

関連トピックス

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ