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【住宅クライシス】「共益費」行政任せにせぬ 大阪・平野の公営住宅、入居者で「団地の良さ守る」

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入居者に声をかける自治組織会長の花岡英治さん(右)=大阪市平野区の大阪市営加美東第1住宅
入居者に声をかける自治組織会長の花岡英治さん(右)=大阪市平野区の大阪市営加美東第1住宅
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 高齢化による世話役の不足などを背景に、全国各地の公営住宅の「共益費」管理制度が、入居者から自治体主体へと相次いで変更される中、大阪市平野区にある「大阪市営加美東第1住宅」の自治組織では、入居者による管理の継続を求めている。同住宅には約330世帯が居住しており、高齢化も課題の一つ。自治組織の会長を務める花岡英治さん(49)は「互いに支え合いながら、共益費を管理している。今の制度を続けてほしい」と訴える。(岡嶋大城)

■透明性確保が第一

 公営住宅は入居に所得制限が設けられており、全国に約210万戸存在する。入居者側に課せられた「保管義務」に従い、自治組織で共益費を徴収、管理してきたが、自治組織の世話役不足が深刻化。行政や代行業者の管理に切り替える自治体が増えている。

 同住宅の自治組織は「加美東連合第二町会」。約330世帯のうち約170世帯で70歳以上の人が居住する。住民の高齢化が進むなか、毎月1700円の共益費は町会側で集め、清掃や電灯の交換費用などに充てている。物品や業務の発注に際しては原則、複数社の見積りを比較検討した上で発注先を決定し、帳簿チェックを外部の司法書士に依頼。一昨年に金銭問題で当時の役員が辞任した経緯もあり、花岡さんは「会計の透明性確保を第一に心がけている」と話す。

 大阪市の担当者も「会計に関し司法書士が加わる例は他にあまりない。丁寧な組織運営と管理に努めてもらっている」と評価する。

■一斉清掃日に交流

 高い自治意識は、ときに入居者の救命にも結びつく。十数年前、自治組織の副会長だった和田弘さん(78)は、救急隊員が毛布にくるまれた患者の両手両足を持ち、救急車へ搬入する様子を目の当たりにした。同住宅のエレベーターには、ストレッチャーを載せるための拡張スペースが設置されているが、救急隊はその鍵を持っていなかったのだ。

 その後、消防署でも鍵を保管することとし、緊急時に使用できるよう改めた。和田さんは「住宅の問題点は入居者が一番よく分かっている」と強調する。

 同住宅では、第3日曜日を一斉清掃日に指定。交流の機会にもなっており、今では各棟に住む数人の高齢者が、樹木の剪定(せんてい)や花壇の手入れなどを日常的にこなす。町会の副会長、三好徳夫さん(85)は「皆さんに感謝している。(町会の)若い会長をしっかりと支えたい」と思いを語る。

 同住宅内では比較的若い49歳の花岡さん。「(共益費管理を)行政がやってくれれば楽かもしれない。ただそうなれば共益費の額が上がり、支払いが困難な人も出てくる。団地の良さは団地の入居者で守るのが良い。運営に関心を持った人が増えてほしい」と願っている。

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