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1日10人搬送 増える宿泊施設で急変 新型コロナで大阪、高齢者増加が背景

電話で入所者の体調を聞き取る看護師=29日午前、大阪市内の宿泊施設(永田直也撮影)
電話で入所者の体調を聞き取る看護師=29日午前、大阪市内の宿泊施設(永田直也撮影)

 新型コロナウイルスに感染後、宿泊施設で療養中に体調が急変して病院に搬送される人が今年に入って大阪府で急増し、1日10人程度のペースとなっている。医療態勢の逼迫(ひっぱく)に加え、府では病床確保のため昨年11月以降、一部の高齢者も宿泊施設に入ってもらう運用に変更したことが背景にあるという。宿泊施設で働く看護師は「最近は入所者を救急搬送しない日はない」と危機感を強めている。

 「息苦しくないですか」「食事はしましたか」

 1月29日午前、大阪市内の宿泊施設で女性看護師5人が計約120人の入所者に電話をかけ、体調を確認していた。1日2回行う定例の健康観察だ。

 手元にタブレット型端末を用意し、入所者自身が計測、入力した体温や血中酸素濃度などのデータも同時にチェックする。聞き取りやデータなどに基づき入院が必要と判断すれば、病院搬送の調整に当たる。

 府によると、1日当たりの感染者が300人前後だった昨年末時点、宿泊施設から病院に運ばれるケースは1日6~7人程度だった。だが、年明けに感染者が600人規模に一時急増してからの搬送人数は10人ほどに増えているという。

 なかでも目立つのが高齢者だ。宿泊施設で勤務する40代の女性看護師は「感染者が急に増え、最近は入所者を救急搬送しない日はない。特に高齢者は症状が変わりやすいので、緊張感が高まっている」と話す。

 背景に入院や療養に関する運用の見直しがある。府では宿泊療養の対象を原則65歳未満で食事や入浴、排泄(はいせつ)などをこなすことができ、入院を要する基礎疾患がない人としている。

 この原則に沿うと、65歳以上で中等度以上の基礎疾患などがある高齢者は本来入院の対象。だが、昨年11月以降は病床のさらなる逼迫を避けるため、こうした高齢者であってもコロナ感染による症状が軽症か無症状で保健所や医師が可能と判断した人は、宿泊療養とすることに変更した。

 宿泊療養の調整を担う府健康医療部の黒田英樹副理事は「基礎疾患を持ちながら宿泊療養する高齢者については、体調の変化を見逃さず、悪化する前に医療に引き継ぐことが大事」と強調。ただ、先の看護師は「新型コロナは症状を自覚しにくいこともあってか『しんどい』と言わない年配の方もいる。病院のように表情を直接確認できればいいが(宿泊施設では)電話越しの対応が多く、もどかしさを感じるときがある」と打ち明ける。

 黒田副理事は「感染者の宿泊療養は初めての経験で、ノウハウが十分に蓄積していない。保健所や現場の看護師らと連携し対応していきたい」としている。(小泉一敏)

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