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【大場一央の古義解~言葉で紡ぐ日本】(35)室鳩巣「生活に徹した思想家」

 五字にていはゞ、うへをみな。七字にていはゞ、身のほどをしれ。汝等是を常に忘るべからず『駿台雑話』

 江戸時代の朱子学者、室鳩巣(むろ・きゅうそう)=1658~1734=は野放図に拡大していくバブル経済に危機感を抱き、国土開発から国民生活までを連動させた総合的な国家プランに基づき大改革を行おうとしていた新井白石の盟友と呼んでいい存在だった。いずれも朱子学者らしく、物事の原則を大事にする人であった。

 彼らからすれば、家や調度品、食べるものや遊ぶものなど、何事も自分の才能や技量、センスや教養に見合ったものを選択し、その人らしい生活を表現していることが大事であり、そうした個々人の、必ずしも金額や流行にこだわらない、趣味の良い生活を土台として、強固で安定した社会ができあがると考えていた。

 したがって、とにかく流行を追って華美を競い合い、「ハイソ」な生活を追い求める元禄以来の社会は、まるで塩水を飲むようにそわそわした人々の心がそのまま映し出されたように見えて、何とかしなければいけないという危機感を持っていたのである。

 この危機感は現代にも通じる。高度経済成長後やオイルショック、その後のバブルとその崩壊、平成の大不況期へと続く経済状況と、戦中派から昭和一桁世代を経て団塊世代が登場し、ポスト団塊としての「しらけ世代」へと続く世代の流れを照らし合わせればよく分かる。

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