PR

産経WEST 産経WEST

大阪目指す国際金融都市構想 業界巻き込む努力を 経済部・岡本祐大

大阪取引所がある北浜エリア=大阪市中央区
大阪取引所がある北浜エリア=大阪市中央区

 「一粒の光」という米粒をかたどったモニュメントが大阪市北区、堂島川沿いにあるのをご存じだろうか。享保15(1730)年、江戸幕府に公認された堂島米市場の歴史を発信しようと平成30年、市場跡地に設置された。取引所関係者によれば、堂島米市場は先物取引所の先駆けで、大阪は「デリバティブ(金融派生商品)発祥の地」として世界の金融業界で知られているそうだ。

 そしていま、約300年後の大阪が海外の金融機関や投資家を呼び込む「国際金融都市」実現に動きだした。政府は、政情不安に揺れる国際金融センター機能の確立を国内で目指しており、そこに大阪も加わるべく府を中心に検討が進められている。

 ただ、海外シンクタンクが昨年9月に公表した国際金融センターランキングで大阪は39位に沈んだ。4位の東京と比べると、かなり見劣りする。

 東京との差別化を図り違った魅力をまとうため、吉村洋文知事は「アジアのデリバティブ市場を牽引(けんいん)する一大拠点」となることを目標に掲げた。実際に日本取引所グループ(JPX)傘下の大阪取引所は昨年、国内初の総合取引所に生まれ変わり、デリバティブ取引高は前年比28・4%増加、過去最高を更新した。デリバティブ市場が盛り上がる機運は高まりつつある。

 また、吉村知事は政権とのパイプを生かし、所得税や法人税を引き下げる金融特区の創設を要望する構え。関西での構想実現を進めるネット金融大手SBIホールディングスの北尾吉孝社長との連携にも力を入れる。

 だが、道は険しい。昨年12月、大阪府、市と経済団体による初会合が開かれた。口火を切った関西経済連合会の松本正義会長は「(2025年大阪・関西)万博誘致より難しい」と言及。さらに「形を作ってもお客さんが来ないようでは恥やわ、恥」と言い放ち、会場内に緊張が走った。

 多くの金融機関幹部も「何を目指すのかよく分からない」と距離を取る。吉村知事など一部関係者の発信ばかりが目立つ状況に遠心力が働いているといえる。

 冒頭の「一粒の光」は名前とは裏腹に高速道路の高架下にあり、日中でもあまり日差しがあたらず、通りかかる人が足を止める様子は見られない。翻って国際金融都市構想が「光」を浴びるには、業界を巻き込み議論する努力が不可欠だ。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ