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【from和歌山】「未来変える力」決意新たに

 今年初め、恩師である教授からの手紙を読んでいた。理由があった。脳裏に浮かんだのは20年以上前の光景。「藤崎君よォ…。君の作文だけどさぁ、何だよこりゃ? ひどいよ」。新聞記者だった恩師は、背を向けたまま机に向かい、ペンを走らせていた。大阪府内の私立大学研究室。平成7年、自身は3回生だった。

 記者を志す中、「新聞記者出身の教授がいる」と友人に聞いた。単位とは無関係だったが授業を聴講し、指導を受けるため作文を持ち込んでいた。入社試験で作文は必須だったからだ。

 だが、作文には毎回、容赦ない添削の「赤字」を入れられ、飛んできたのは厳しい指導の声。それでも、恩師は匙を投げなかった。

 自身が目標をかなえたのは大学を卒業し、転職を経た11年夏。「芯」となる精神を鍛えてくれたのは、恩師のおかげだ。多忙を口実に音信は一時途絶えたが、数年前に送った手紙から交流はよみがえった。その中で、こんな書が届いた。

 「“終活”の一環で、手持ちの本や資料のセイリを進めています。お世話になったもの(本など)を、できるだけ大事に扱ってくださる“善き人”を捜しているのです」

 「先生、縁起でもないですよ…」。そう独り言(ご)ちつつ、手紙のやり取りを経て何冊かの本をいただいた。その中で、特に心に刻まれた本がある。昭和40年代、四大公害裁判のひとつでイタイイタイ病の裁判取材などを手がけた全国紙の記者の著書。経験を通じて新聞の重要性について記してあった。社会から無視されそうな被害や不公正を掘り起こし、声をあげること、世の中を変え得るメディアの役割…。読みながら、恩師の声を思い出していた。

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