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【勇者の物語~「虎番疾風録」番外編~田所龍一】(146)打倒阪急燃える南海 秘策「賞金作戦」

延長十回裏、野村(右)のタッチをかわしてサヨナラのホームへ滑り込む福本=西宮球場
延長十回裏、野村(右)のタッチをかわしてサヨナラのホームへ滑り込む福本=西宮球場

 4月2日、昭和52年シーズンが開幕した。阪急は本拠地・西宮球場で南海戦。試合前のセレモニーでは、宝塚歌劇団雪組のトップスター高汐(たかしお)巴(ともえ)が「グローリー・ハレルヤ」を熱唱。星組トップスター鳳(おおとり)蘭(らん)が始球式を務めるなど、詰めかけた2万6千人のファンは大喜び。

 阪急は山田、南海は山内が先発。試合は白熱の投手戦で延長戦へともつれ込んだ。

◇開幕戦 4月2日 西宮球場

南海 000 010 000 1=2

阪急 000 000 010 2=3

【勝】山田1勝 【敗】山内1敗

【本】定岡①(山田)

 延長十回表、南海の先頭定岡が左翼へホームラン。これで決まった-かと思われた。だが、その裏、阪急は疲れの見え始めた山内を攻め代打の高井が中前打。続く福本が四球を選んで無死一、二塁のチャンスをつかんだ。

 ここで南海ベンチは佐藤をリリーフに送る。その代わり端、井上が左前へ同点タイムリー。さらに加藤秀が中前打を放つと、福本が野村のタッチをかわして二塁から生還。劇的な開幕サヨナラ勝ちを飾った。

 「高井を力で抑えようとして失敗したわ。福本を歩かせたんも痛い。山内の代えどきも一人遅れた。みんなワシの失敗や」と野村監督は地団太(じだんだ)を踏んだ。

 野村が悔しがったのには訳があった。昨シーズン、南海は対阪急10勝16敗。「優勝するには何がなんでも阪急に勝たなアカン」と『打倒阪急』に燃え〝秘策〟を用意して今シーズンに臨んでいた。野村は開幕前に「『打倒阪急』の幟(のぼり)を球場に立ててくれ」と球団へ申し出た。さすがに「それはみっともない」と却下されたが、それなら-と提案したのが〝賞金作戦〟だった。

 ①阪急戦で完投勝利を挙げたら「3勝分」とする

 ②リリーフも大事な場面でピシャリと抑えれば「2勝分」と評価する

 ③野手も殊勲選手の評価点を増やす

 ④ベンチ入り全員に1万円。ヒーローにはさらに1万円の賞金を支給する-というもの。

 開幕戦には敗れたものの、52年の対阪急戦は11勝12敗3分け。やっぱり〝賞金〟の効果は大きかった。

(敬称略)

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