広域行政の一元化条例案 2月議会提出へ 成長戦略が柱

大阪府と大阪市は28日、11月1日の大阪都構想の住民投票否決後、初めて副首都推進本部会議を開き、市の広域行政を府に一元化する条例案について議論した。副首都推進本部会議を府市の「二重行政」を解消する組織として明記することや、府市一体の成長戦略やまちづくりを柱に府に移管する事務を検討し、来年2月の府市両議会に条例案を提出する方針を決めた。
2025年大阪・関西万博の準備やJR大阪駅北側の再開発区域「うめきた2期」(大阪市北区)の整備が進む中、吉村洋文知事と松井一郎市長は大阪の成長実現に向け、都構想に代わる枠組みづくりを急ぐ。
この日の会議では、産業振興や都市魅力の向上、まちづくりなどに関わる分野の事務を府に一元化する案が示され、了承された。
条例案に明記する副首都推進本部会議は実行力を重視し、政令指定都市と道府県が協議する地方自治法上の「調整会議」よりも「強固な仕組みを構築する」とした。
府市は副首都推進本部会議で一元化の基本方針を決定し、市から府に事務を委託したり、執行機関を共同で設置したりする方法を検討している。法改正が必要な権限については国と協議し、調整する。
一方、都構想で府に移管するとしていた消防や水道の事務は条例案に盛り込まず、別の形で広域化を検討する。住民に身近な福祉や保健、教育などの行政サービスも対象外とする。
会議では有識者から「わが国が大都市のあり方を議論していないのが問題だ」として、都構想の根拠法の改正を国に働きかけるべきだという意見が出た。
吉村氏は会議後、記者団に「府市がバラバラにならず、一体で成長戦略を実行できる仕組みをつくることが一番重要だ」と強調。松井氏は都構想が僅差で否決された結果について「大阪市を残しながら一体で成長する大阪を作れ、という意見が半分以上ととらえている。一元化の明確なルールをつくる」と述べた。