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「看護師の卵」も新型コロナで苦境 医療現場実習できず

不安と励まし

 来春に就職予定の学生の大半が実習に出られなかった学校もある。大阪信愛学院短期大(大阪市)看護学科は8月ごろに学外実習を始めたが、コロナ感染者が再び増え始めたため、学内実習に切り替えた。

 動画で手技を学ぶ講義を取り入れたり、先生や生徒が患者役となって状況のシミュレーションなどを行う学内実習を手厚くし、心音などを測る人形なども積極的に活用。上田博之学科長は「病院と学生の互いの安全を優先させた」と話す。

 だが、3年の大木香凜さん(25)は、「このまま働くことに申し訳ない気持ちもある」と話す。就職予定の病院には、実習経験が少ないことの不安も打ち明けたが、「新人研修に追加のトレーニングも行うから、何も心配しなくていい」と励まされた。「知識を学ぶことが、今の自分にできる大切なこと。それに集中する」と前を向いている。

8割超の大学 内容変更

 看護職になるには、大学や短期大学、専門学校などで学んで所定の単位を取得したうえで、国家試験に合格する必要がある。単位取得には、看護師なら最大1070時間の「臨地実習」、助産師はさらに10回程度の分(ぶん)娩(べん)対応などの経験も必要だ。今年の看護師国家試験は6万5千人超が受験し、合格率は89・2%だった。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、厚労省と文科省は学内実習などを代替策として認めると通知する一方、実習機会の減少は「新人看護職員の早期離職や指導する立場の看護職員の負担の増大などにつながる可能性がある」とし、フォローアップ体制の整備費を予算化する方針だ。

 日本看護系大学協議会が今年10~11月、全国の約300の大学に行った調査では、今年9月以降の実習について83・4%の大学が変更を予定。日数や時間短縮を予定するとした大学は79・8%、学内実習に変更する大学が78・7%だったほか、遠隔実習への変更も42・3%に上った。

 同協議会副代表理事の菱沼典子氏は「現場を体験する機会が失われているが、カリキュラムの変更は簡単にできない。大学側も試行錯誤が続いている」とし、「実習を受けられなかった学生が就職する病院などには事情を理解し、受け止めてもらいたい」と話した。

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