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大阪市保健所、業務量が限界に 他府県応援や効率化で維持

 新型コロナウイルスの感染拡大が続き、感染の封じ込めを担う大阪市保健所の業務量が限界に近付いている。感染経路や濃厚接触者を特定する「疫学調査」が追い付かず、クラスター(感染者集団)の把握に時間差が生じるケースも発生。感染拡大の波に備えて体制を強化していたが、他府県からの応援や業務の効率化で何とか体制を維持している状況だ。

 市保健所の現状について、松井一郎市長は18日、記者団に「これだけ患者が増える中で速やかに全て対応できる状況にない。組織を拡充してきたが、人材も無尽蔵にあるわけではない」と危機感を示した。

 大阪府によると、府内の1週間単位の新規感染者数は今月4日、過去最多の2631人を記録。約1カ月前との比較では3倍以上となっている。大規模な繁華街を抱える大阪市内の感染者は市外より約1・5倍多い。

 保健所は新たに判明した感染者について保健師による疫学調査を実施し、感染経路や濃厚接触者を特定。感染拡大の防止に欠かせないが、11月以降の感染者数の急増とともに、負担が重くのしかかっている。

 市保健所によると、感染者1人につき濃厚接触者は平均5人とされる。感染者への聞き取りから濃厚接触者に該当する可能性がある人を割り出し、PCR検査の受診などにつなげる。

 感染拡大に伴い、クラスターの発生現場が市内でも、市外の人が関係する事例が増加。他都市の保健所との連携が欠かせず、作業が複雑化しているという。

 保健所の業務は疫学調査だけにとどまらない。市民からの受診相談や感染者の基礎的なデータ入力、患者の自宅・宿泊施設療養の判断など多岐にわたる。

 業務量が増大するにつれ、濃厚接触者の把握が遅れるケースもみられる。市内で11月20、27両日に判明したクラスターは当初、感染経路不明とされていた。把握が遅れれば感染拡大や重症化のリスクも高まる。

 一方、市は感染拡大の波を予見し、今春から保健所の体制強化を進めてきた。5月に保健所内に約50人体制のコロナ対策専門班を新設。9月には増員して約100人体制としていた。

 だが、感染拡大は想定以上だった。市保健所の担当者は「日々、確認される陽性者への対応だけなら何とかなるが、濃厚接触者が増えすぎると手が回らない」と訴える。現場では、日付が変わるころまでの勤務が常態化しているという。

 こうした中、市保健所は今月7日以降、全国知事会を通じて岩手や京都など9府県から医師や保健師ら約20人の応援を受けている。大阪府からも約30人の外部人材が派遣され、濃厚接触者の検査調整などを担う。

 業務の効率化も進めている。疫学調査の記録表から他のデータとの重複項目を削除したほか、電話で聞き取っていた濃厚接触者の健康観察も、15日以降は本人の電話申告に切り替えた。

 関西大の高鳥毛(たかとりげ)敏雄教授(公衆衛生学)は「段階的に患者が増える感染症に対峙(たいじ)することで、保健所の人材不足が浮き彫りになった。中長期的には、保健所の増設が検討されるべきだ」と指摘する。

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