【動画あり】コロナ下の「大茶盛」試行 回し飲みせず1人1碗で 奈良・西大寺

奈良市の西大寺で28日、特大の茶碗(ちゃわん)でお茶を回し飲みする名物の「大茶盛」が、新型コロナウイルス感染対策のため、個別の茶碗で飲む形式で開かれた。60畳の和室にマスク姿の招待者15人が約2メートル間隔で着席し、僧侶が大茶盛の由来などを説明した後、お点前(てまえ)を開始。参加者は回し飲みに使われる直径約40センチのものより小ぶりの茶碗を手にして一服を味わった。
今年1月の「大茶盛」の行事は通常の形態で行われたが、新型コロナの影響で4月と10月は中止となっていた。
寺は休止状態とするのではなく、感染防止に配慮したうえでの新方式を模索。今回、地元の人らを招いて新しい形を試すことにし、同じ器で茶を味わい心を一つにする「一味和合」の精神を体感できるか探った。
辻村泰範執事長は「通常の大茶盛は自然と笑みがこぼれるが、残念ながらそうはいかなかった。ただ、一つの席で一緒に飲むので雰囲気は伝わったのでは。再開に向けて一歩踏み出せそうだ」と話した。
大茶盛は鎌倉時代に同寺を再興した叡尊(えいそん)上人が近くの八幡神社に献茶した際、残りの茶を人々に振る舞ったのが起源とされる。