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【ダニーの棋食徒然】勝負にカツ、コロナにカツ

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 ドラマや小説で最も描写の多い料理は何だろうか。おそらくその一つはカツ丼だろう。昨今では食事を題材にしたドラマなどの隆盛もあり、多岐にわたる料理が紹介されているが、取調室で被疑者が刑事に出される料理といえばカツ丼というイメージは、真偽はともかく、ドラマのイメージとして根強い。

 勝負事の世界でもカツ丼は昔から愛されてきた。カツが「勝つ」につながるという語呂の良さ、空腹を満たしてくれるトンカツのボリューム感、にもかかわらず手早く食べることのできる手軽さが、その人気の元だろう。現代の将棋界においても、昼食時にカツ丼の注文はしばしば見かけられる。

 筆者も昼食によく頼んでいた時期があるが、カツ丼の魅力はまず熱々でなおかつサクっとしたカツ、そして卵のやさしさにくるまれた出汁(だし)と米のコンビネーション、さらにはネギなど脇を支える野菜の歯ごたえであり、美味(おい)しくいただいて昼食後も頑張る気力が湧いてくるというものである。

 またカツ丼は、非常にバリエーションの多い料理の一つでもある。通常の卵でとじるカツ丼に加え、ソースカツ丼や味噌カツ丼といった今では定番化されたカツ丼、変わり種としてはおろしカツ丼やチーズカツ丼なども好んで食される。

 もともとトンカツはカットレットを元とする料理であり、日本で食されるようになったのも明治以降と比較的新しい料理である。そのトンカツが元となるカツ丼が、こんなにも人々に愛されるようになったのも、トンカツの美味しさと米の包容力のおかげといえるだろう。

 ますます寒くなる冬に向けて、そしてこのコロナ禍に打ち勝つためにも、一杯のカツ丼が力に変わるかもしれない。   (将棋棋士 糸谷哲郎八段)

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