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「死刑制度廃止」弁護士会の強引手法に会員から反発も

「2020(令和2)年までに死刑制度廃止を目指す」との宣言案が採択された平成28年の人権擁護大会=福井市
「2020(令和2)年までに死刑制度廃止を目指す」との宣言案が採択された平成28年の人権擁護大会=福井市
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 京都弁護士会の南出喜久治(きくぢ)弁護士が16日にも、死刑制度の廃止を目指すとした日本弁護士連合会を相手に、宣言の無効確認を求め、京都地裁に提訴することが分かった。組織として死刑制度廃止を目指す動きは日弁連だけでなく、日弁連傘下として各都道府県に置かれる単位弁護士会でも活発化する。これまでに9つの弁護士会が、国に死刑制度廃止や執行停止を求める決議案を採択。ただ、賛成票が全会員の過半数に遠く及ばないケースも多く、強引ともいえる手法に反発も根強い。

 「死刑制度の賛否は個人の価値観の問題。弁護士全員の『総意』かのように決議するのはおかしい」

 タレントとしても活躍する北村晴男弁護士(東京弁護士会)は力を込める。日弁連などは正当な手続きを強調するが、「ごく一部の賛成で決まっている。私にとって耐えがたい決議だ」と憤る。

 日弁連は平成28年10月の人権擁護大会で、2020(令和2)年までに死刑の廃止を求める宣言案を採択した。参加した786人のうち賛成は546人に達したが、当時の会員数は3万7千人超。全体のわずか約1・4%の賛成で会の方向性を決めていた。

 各地の弁護士会の決議に関しては、欠席者は委任状で賛否を明らかにできることも多いが、会員の多くが提出せず、全体の3分の1に満たない賛成で採択されることも少なくない。

 日弁連は「決議や宣言は委員会や理事会など複数の段階を経て出している。一部の人間だけで決めているわけではない」として、手続きの正当性を強調する。

 だが北村氏は、死刑廃止を組織として打ち出す姿勢に賛成の会員は「実際は少数だ」とした上で、政治的中立を守るべきとの観点から「弁護士法を改正し、会としての政治活動禁止を検討すべきだ」と主張する。

 日弁連の採択以降、単位弁護士会でも同様の動きが進む。これまでに6団体が死刑廃止を、3団体が死刑執行停止を求める決議案を採択。このうち今年は島根、埼玉、福岡、東京、広島の5団体に上った。未採択の団体でも、死刑執行のたび抗議声明を会長名で出すケースが多い。

 こうした動きに対抗するかのように今年夏、「死刑賛成弁護士」(文芸春秋)と題した書籍が出版され話題を呼んだ。触れ込みは「『弁護士はみな死刑反対』と考えるのは大間違い」。執筆した「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」共同代表、杉本吉史(よしのぶ)弁護士(大阪弁護士会)は「死刑制度が合憲とされる中、個々の意思を排した決議は問題だ。強制加入団体で多数決によって決める話ではない」と問題視する。

 内閣府が昨年11月に実施した世論調査では、国民の約8割が「死刑はやむを得ない」と回答。杉本氏は、児童8人が犠牲になった平成13年の大阪教育大付属池田小事件をはじめ、残忍な事件で遺族の代理人を務めており、「遺族が死をもって償わせたいと思うのは自然な心情だ。日弁連の姿勢は国民、遺族の感情から、かけ離れている」と指摘している。

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