【エンタメよもやま話】下がらなかった携帯料金、官邸と大手の攻防に迫った1冊
さて、今週ご紹介するエンターテインメントは“話題の1冊”に関するお話です。
9月に発足した菅義偉(すが・よしひで)内閣が求める携帯電話料金の値下げについて、ソフトバンクが5千円以下の新プラン創設を検討していることが明らかになるなど、携帯各社による対応が大詰めを迎えています。
菅首相は、官房長官時代の平成30年、「日本の携帯料金は4割程度下げる余地がある」と発言し、値下げ競争の促進策を主導。翌年には料金値下げの実現に向け、電気通信事業法も改正しました。しかし、国内シェアの9割を占める大手3社が値下げにどうも消極的で、結局は国民の多くが値下げを実感するに至っていません。そこで菅首相は、先の自民党総裁選で、値下げが実現しない場合、携帯電話会社が国に支払う電波利用料を引き上げる可能性にまで踏み込むなど、大幅な値下げの実現に執念を燃やしています。
当時の菅官房長官が強く訴えた携帯電話料金の値下げがなぜ実現していないのか。なぜ“4割値下げ”が不発に終わってしまったのか…。その謎に迫る実にタイムリーな1冊が10月8日に発売されました。「官邸VS携帯大手 値下げを巡る1000日戦争」(著者・堀越功、日経BP 1800円+税)です。
文字通り、過去1000日にわたり、官邸と携帯大手が繰り広げた激しい攻防の裏側に、当時の専門記者が肉薄した内容で、菅政権の次の一手を読むうえでも、示唆(しさ)に富むものといえそうです。