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大阪府、高校生の就活「1人1社制」見直し 来年度から

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 大阪府が、高校生の就職活動で秋の選考解禁時に応募先を1社に限定する慣行を見直し、来年度から複数社に応募できるようにする方針を固めたことが22日、分かった。現在高校2年の生徒から適用される。「1人1社制」はほとんどの都道府県で採用されているが、文部科学省と厚生労働省は今年2月、見直しを求める報告書をまとめており、大阪の動きが全国に波及する可能性がある。(木ノ下めぐみ)

 高校生の就活は、生徒と企業の間に学校が介在するかどうかで大きく分かれる。縁故採用など学校を通さない少数のケースを除けば、大半の生徒は学校斡旋の中でも、企業が特定の学校に求人を出す「指定校求人」を活用。公開された求人情報から志望企業を選んで応募する「公開求人」もあるが、利用は少ない。

 就活が解禁されるのは、今年はコロナ禍で10月中旬に遅れたが、例年は9月中旬で、生徒が一度に応募できるのは1社だけ。その後一定期間を置いて、複数社に応募できるようになる。法的な強制力はないものの、慣行として事実上ルールとなっているのが現状だ。

 文科省の調査によると、昨年3月末時点の高校生の就職率は98・2%で、1人1社制について学校関係者の間では「生徒の進路を保障するセーフティーネットの役割を果たしている」「就活の長期化を防ぎやすい」「ブラック企業を排除しやすい」と評価する声が多い。一方で、希望する職種や企業に応募できない生徒が出るなどのデメリットもあり、高校生の就活事情に詳しい元経済産業省職員で政策コンサルティング会社経営の石原誠太さん(37)は「生徒が主体的に就活を行えず、ミスマッチが起こりやすい」と早期離職の課題を指摘する。

 また、高校生の採用支援などを行う企業「ジンジブ」(東京都)が昨春、就職希望の高校3年生約900人に行った調査でも、34・1%が「同時に複数社応募したい」と回答している。

 こうした状況を踏まえて、文科省と厚労省は昨年から高校生の就活ルールに関する議論を進め、今年2月、複数社への応募ができるなど生徒の選択肢を増やすよう見直しを促す報告書をまとめた。

 この時点で、秋田県と沖縄県を除く45都道府県が1人1社制を導入。見直しに対して教育現場からは「企業の良し悪しを判断できない生徒も多い」「教員の負担が大きくなる」といった慎重論も強かったが、大阪府は「生徒たちが主体的に就職先を選べる制度を構築すべきだ」などとして慣行を改めることにした。コロナ禍でも全国の高卒求人倍率が2倍を超えるなど、企業の採用意欲が強いことも、今回の決定を後押ししたとみられる。

 来年秋の就活から、指定校求人では1人1社制を残しつつ、これまであまり利用されていない公開求人を活性化させて複数社への応募ができる仕組みを導入。縁故採用以外の生徒は就活にあたってどちらかを選ぶ。

 地域の製造業などに偏りがちな指定校求人に対し、公開求人は全国の企業が対象で職種もITなど幅広い分野から選べるようになるが、採用実績や信用性のある指定校求人と異なり、ブラック企業をどう排除するかといった課題を解決する必要がある。

 府はさらに今後、生徒たちが適性にあった職業を見つけるためのキャリア教育も実施する予定だ。

                 ◇

■1人1社制 学校を通して行う企業の採用選考で、就職活動の解禁時に生徒が一度に応募できる企業を1社に限定する仕組み。内定が得られず、一定期間が経過すれば複数社への応募が可能となる。厚労省によると、学業への支障がない短期間で効率よく就職先を見つけられるなどとして、高度成長期に始まったという。

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