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大阪の新名物スパイスカレー だし文化と挑戦心が隠し味

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 ご飯の白と具だくさんの茶色いルー、副菜の赤や黄色が色鮮やかに皿を彩る。スプーン一さじ口に運ぶと、スパイスの香りが口いっぱいに広がって-。日本の食卓には欠かせない、子供から大人まで親しまれるカレー。大阪では近年、「スパイスカレー」と呼ばれるカレーが人気を集めている。だし文化とも融合した発展形カレーが関西のカレー文化を牽引(けんいん)する。  (小川恵理子)

1つとして同じものはない

 大阪市北区のオフィス街で、毎週水曜日だけ開く「ニッポンカリー オルタナ。」。厨房(ちゅうぼう)に立つのは、会社員の傍ら店のプロデュースを手掛ける三嶋達也さん(54)だ。カレー好きがこうじて、カレーファンの情報共有の場としてフェイスブックのグループ「口癖はカレー」を主宰。8200人のメンバーが所属しているという。

 そんな生粋のカレー好きが手掛けるのがスパイスカレー。一般的なカレーやインドのカレーとは異なる。カツオや昆布、鶏から取っただしやスープをベースに、数十種類のスパイスと肉や野菜などの食材を組み合わせて作り上げるのが特徴だ。作り手によって味や盛りつけが異なり「一つとして同じカレーはない」ため、食べ比べを楽しむ人も多い。

 鉄道会社もその人気に目を付ける。今夏、大阪メトロでは各沿線の店舗を紹介するキャンペーン「スパイスカレーめぐり」を展開。紹介した数は計37店にものぼった。キャンペーンは昨年から始めたが、今年は用意したパンフレット約16万枚がほぼなくなった。担当者は「根強いブームを感じる」と実感する。

薬問屋にもルーツが?

 スパイスカレーの草分けとされるのは約30年前に大阪市内で開店した「カシミール」。約10年前には大皿にご飯とルー、副菜などを盛りつけた「スリランカカレー」が大阪に登場し、小麦粉を使わないサラサラとしたルーや副菜と混ぜ合わせながら食べる新しいスタイルが定着したという。

 また、和風だしベースのカレーを考案した「旧ヤム邸」やミシュランガイドにも紹介された「コロンビアエイト」など人気を牽引する店が台頭。影響を受けて盛り付けやスパイスの配合にこだわった店が次々と生まれている。

 「大阪で根付いた最大の要因がだし文化」と三嶋さんは考える。中世、天下の台所と呼ばれた大阪には、今も昆布やカツオを使った香り豊かなだし文化が根付き、スパイスの組み合わせは無数にひろがる。

 さらに、大阪人の気質がスパイスカレーを深化させたと推察する。「『他人と同じことをしてもおもろない』とタブーを恐れずに挑戦する大阪人のDNAが関係しているのでは」

 国内初のカレー粉にもルーツを求めることができるかもしれない。江戸時代から薬の街として栄えた道修町(どしょうまち)(大阪市中央区)では、明治38(1905)年、薬問屋、大和屋(現ハチ食品)の2代目店主が漢方薬の香りをヒントにして国内初のカレー粉を開発。「バーモントカレー」などで知られるハウス食品(東京)の前身「浦上商店」の創業者・浦上靖介も道修町の薬問屋で修業を積んだ。

コロナ禍でも存在感

 一方、新型コロナウイルス感染拡大で外食産業が苦戦する中でも、カレーは善戦している。リクルートライフスタイル(東京)が今年6月、20~60代の男女約1万3千人(有効回答数約1万人)を対象に行った持ち帰りの利用実態調査では、利用者の約6割のうち、カレーを含む「牛丼など一品もの」の購入はファストフード(約25%)に次ぐ16%を占めた。

 「冷めてもレンジで温め直せばおいしく食べることができる」と、カレー総合研究所(東京)の井上岳久代表はテークアウトとの相性の良さについて指摘する。「スパイスの配合などを変えるだけで個性を出しやすい。作り手、買い手どちらにとっても魅力的なメニュー」と強調する。

 そんな中、大阪ではスパイスカレーが存在感を放つ。三嶋さんは「スパイスカレーの本場は大阪だと認識され、他府県から食べにくる人も増えている。大阪名物といえば『お好み焼き、たこ焼き、スパイスカレー』になるのでは」と期待している。

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