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「教え子は宝物」教師がつづる珠玉エッセー集めたサイト

 大阪教育大(大阪府柏原市)が全国の教員経験者から募った現場でのエピソードを特設サイトで公開し、話題を呼んでいる。予期せぬサプライズ、教え子との50年のつながり。教員を目指す若者が減る中、数々の物語が未来の先生の背中を押している。(宇山友明)

教師冥利に尽きる

 昨年3月、大阪府寝屋川市にある中学校の修了式。当時の校長、佃千春さん(61)が教員生活最後の節目を終え、安堵(あんど)している最中だった。「古いアルバムの中に…」。生徒全員が人気デュオH2Oの代表曲「想い出がいっぱい」を口ずさんだ。式次第にはない唐突な展開に、驚きを隠せなかった。

 直後、古い記憶がよみがえった。駆け出しの音楽教師だったころ、この曲を授業で教え子とよく歌っていた。そのことを知った今の生徒らが、修了式に向けてひそかに練習を重ねていたのだった。やんちゃな学級代表も寡黙な生徒も、佃さんを見つめて笑顔で歌っていた。

 佃さんはエッセーで思いをつづった。《湧き上がるものがあった。2番はもう歌えなかった》

 今年6月に開設された大教大の特設サイト「教師冥利(みょうり)に尽きるエッセイ」。教員らのこうした物語を伝えるエッセーが約30本掲載されている。

 教え子との50年にも及ぶつながりを振り返ったのは千葉県柏市の元小学校教諭、黒沢悦子さん(81)。《私が教師を退職するときも、主人が亡くなった際も駆けつけてくれた》。時が流れ、その教え子らが還暦を迎えた3年前、母校で一緒に記念写真を撮ったといい、《教師でなければ教え子の50年の成長を楽しむことはできない。教え子は私の宝物》とかみしめた。

教員志望減少に危機感

 このサイトを考案したのは、文部科学省を経て昨春に大教大に着任した新津(にいつ)勝二理事(56)。背景にあるのは、教員志望者が減少する現状への危機感だ。

 文科省によると、令和元年度の小中高の教員採用試験の受験者は約12万5千人。ピークだった昭和54年度(計約24万5千人)のおよそ半分にとどまった。少子化や、残業が多いとされる労働環境などが影響したとみられる。「希望や夢を持ち教職の道に進んでもらいたい」と新津さん。今年1~3月、インターネットで資金を募るクラウドファンディングで100万円超の寄付を集め、サイトを立ち上げた。

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