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コロナ禍で加速するオンライン活用 変わる高校生の就活

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 高校生の就職活動に変化が起きている。新型コロナウイルスの影響を受け、求人数は減少の傾向で、例年なら就職活動に充てている夏休みは短縮し、採用解禁日も延期された。そんな中、これまで高校生の就活ではほとんど行われていなかった会員制交流サイト(SNS)を利用した企業紹介や説明会などが注目を集めている。学業優先で就活に制限が多いため、入社後の早期離職率が課題となってきた高卒者の就職。コロナ禍が加速させたオンライン化がそのあり方に風穴を開けるかもしれない。  (田中一毅) 

早期離職が課題の高卒者就職

 文科省によると令和2年3月卒業の高校生の就職内定率は98・1%(2年3月時点)と高い。一方で、厚労省の調査では、平成28年の高卒者の就職後3年以内の離職率は39・2%と四割近くにのぼり、大卒者の32%を7・2ポイント上回った。早期離職は深刻な問題になっている。

 実は、高校生の就活は学業優先のために期間が制限されている。例年、求人票は7月1日に届き、夏休みなどに会社見学を行い、高校から企業への応募書類の提出開始は9月5日、採用選考開始は9月16日となっている。今年は日程が1カ月後ろ倒しとなったが、夏休みの短縮やコロナ禍の自粛で就職先の訪問が制限される影響も出ている。

 また、地域によっては内定率を高めるために、一定の期間は1人につき1社しか応募できないというルールも存在する。こういった制約が、多くの企業と出合う可能性を狭め、離職につながる要因の一つとも考えられている。

 「早期離職の原因は情報不足にあるのでは」

 奈良県のクリエーターたちがたちあげた企業紹介の動画配信サービス「ジモトとシゴト」のプロデュサーで、森脇ビデオ企画の森脇正文代表(43)はこう考える。高校生が就職する際に参考にする紙1枚の求人票では、事業内容や給与を確認できても、職場の実態は分かりづらい。そこで森脇さんたちは今年、「求人票の一歩手前のメディア作り」を目指して配信サービスを始めた。

動画でずばり質問

 「入ったときからいろいろ教えてもらえた。(先輩は)忙しそうにしているときでも笑顔で答えてくれる」「勉強することは自分の力になる。学校にいるときは勉強から逃げていたんですけど」

 ジモトとシゴトの公式ホームページや動画投稿サイト「You Tube(ユーチューブ)」の公式チャンネルで公開中の動画の一場面だ。プラスチック製品の製造・販売会社やデイサービス事業所など県内8社を約4分半の動画で紹介する中で、入社1年目の社員が笑顔で語っている。

 森脇さんは「職場のリアルさを追求しました。高校生が働きたいと思う場所を見つけるきっかけになれば」と話す。撮影では就活中の高校生の視点を意識した質問を用意して、「仕事で大変なことは?」「やめようと思ったことは?」などとズバリ切り込んだ。

 動画製作は1本10万円。製作を依頼した葛城工業(奈良県広陵町)の担当者は「会社や従業員のことは求人票だけでは伝わりにくい。映像で、より深く知ってもらえたら」と期待する。

チャットでの質問はお手のもの

 大阪では、この夏、ユーチューブ上で企業説明会が開かれた。大阪イエローハットやJR貨物など11社が参加した説明会では、高校生からチャット欄に寄せられた質問を、スタッフが高校生に代わって聞きだす双方向性が大切にされていた。

 高校生の就活を支援するベンチャー企業「アッテミー」(大阪市北区)がコロナの影響を受けている生徒と企業の出合いの場を増やそうと企画した。吉田優子代表は「高校生はSNSに普段から親しんでおり、チャットの質問も活発に行われた。対面の企業説明会よりも積極的だったのでは」と話す。通信環境が整っていない高校生が不利にならないようにライブビューイング会場も用意。「高校生がより主体的に企業にアプローチして、納得して就職するためにもオンライン活用は有効」という。

 採用面接にも変化の兆しがある。厚労省は今年8月、企業に対して、オンライン面接をする際の留意点について示した。ルールの設置は、企業のオンライン面接導入を促すきっかけになると見られている。導入が進めば、高校生が地域を限定せずに就活できる可能性も出てくる。

 学生のキャリア教育事業などを行う「スクール・トゥ・ワーク」(東京都)の古屋星斗代表は「高校生たちのよりよい就職を実現するためにもオンライン活用は今後、進むのでは」と話す。一方で、通信環境の整備やルール作りなど課題もある。「行政側が積極的にガイドラインを示すなどして、アフターコロナの高卒者就職の仕組み作りが行われるべきだ」と指摘している。

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