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【「風」読者から~ALS嘱託殺人(12)完】積極的安楽死議論の前に

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の嘱託殺人事件で嘱託殺人罪で起訴された医師2人の行為について、「擁護」する意見も目立った。

 《被害者の女性の立場になれば、私も安楽死することを望みます。2人の医師の罪はできるだけ軽くしてほしい》。こう記したのは、大阪府高槻市の女性(84)だ。

 大阪市浪速区の男性(75)は《医師は全面的に悪者ではない。この問題をもっと議論すべき》と主張。《相当な葛藤があったと思う》などと、医師2人に対しても考慮する点があり、安楽死の賛否を含めて社会で考えるべきだとした。

 一方、医療機関側の弁護士として活動する森山経営法律事務所(東京)の福原正和弁護士から寄せられたメールには、《このケースでは安楽死の問題とは切り離して考えるのが妥当だ》と記されていた。

 今回の事件について、福原氏は《安楽死の論点に至るまでもなく、完全な犯罪行為》とする。

 医師と患者の間には「診療契約」があり、患者が診察を申し入れ、医師が診察を始めた場合に契約が成立することになる。

 ただし、福原氏は2医師の行動については、事前に金銭を受け取った上で、共犯の医師の名前をかたるなどして患者に接触し、ごく短時間で死に至らしめているとし、《診療契約に当たらず、診療行為でもない》と指摘。《(苦しむ患者を手助けするという)一見して正当に見える行為を盾にしてビジネスを行うのは非常に腹立たしく感じます》としている。

 福原氏は、積極的安楽死の法整備に関する議論について「時期尚早」との見解を示した上で、こう訴える。《議論の前提となる尊厳死や積極的安楽死の知識を深める必要があり、その上で、まずは尊厳死が認められることを一つの着地点として、積極的安楽死はそれから議論を》

 積極的安楽死をめぐっては、尊厳死とともに、今回のように問題が起こるたびに国内では是非を問う声が出るが、いずれも一時的なものである感は否めない。どちらかというと、タブー視されてきた印象もある。まずは、何かが起きたときではなく、日ごろから「自分の最期をどのように迎えるのか」に向き合いながら、議論する土壌を醸成することが必要ではないか。寄せられたたくさんの意見を通し、改めて、そう考えている。(泉)

=終わり

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