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【ビブリオエッセー】「道具」に支配されない関係へ 「子どもとスマホ-おとなの知らない子どもの現実」石川結貴(花伝社)

 この本を知ったのは子供が小学校から持ち帰った石川結貴さんの講演会のお知らせだった。子供の成長に伴って、スケジュールアプリやSNSを習慣的に開く自分にも気づいてはいたがスマホのことがずっと気になっていた。講演会でその怖さを知って、もはや対岸の火事ではないと思い、石川さんの本を手に取ったのだ。

 SNSの誹謗中傷で若い女性の人生が奪われたニュースは記憶に新しい。生まれたときからスマート社会に生きる若者や子供たち。成長期の精神形成にもICTの活用で価値観を広げ、多様性が求められる時代に、素晴らしき共感共有の裏に潜む「不幸」の正体は何か。この本は現代の神器、スマホの現実を明らかにする。

 リアルな人間関係が苦手で「ネット心友」に救われたと話す子供たちは一方で、しがらみのないすぐに「切れる」つながりを求めているという。無料で利用できるアプリやタダで遊べるゲームなど「お金」に敏感だが、それゆえ怪しいビジネスなどネットトラブルにも巻き込まれやすい存在だと石川さんは指摘する。

 オンライン上の関係が習慣化されている子供たちは真偽のつかめぬ情報と飛び交う感情に振り回される相互監視社会にいる。でも気になって仕方がない、見ないと気が済まない、そこで膨大な時間と感情だけが消耗されていく。手放せなくなったスマホという道具に支配され続ける関係。読み進むだけで息苦しくなる。

 それはおとなの問題なのだ。ネットやスマホを上手に利用し、過度の依存を克服する自助力と自衛のヒントは親子で得られるという。ここで提案されているのは、おとなたちがネットに載っていない大切な情報があることを教え、ネットもスマホもなかった時代の「私の物語」を語ること。この本はスマート社会に欠かせない、わが家の参考書となっている。

 茨城県つくば市 大久保美紀 46

【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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