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【湖国の鉄道さんぽ】「比良おろし」を防げ JR湖西線の防風柵、運転規制3分の1に

湖西線の防風柵(左)。和邇-近江塩津間に設置されている
湖西線の防風柵(左)。和邇-近江塩津間に設置されている
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 大津市北小松沖合の琵琶湖で6月7日、クルーザーが転覆する事故が発生し、乗っていた13人全員が救助された。この地域に水難事故をもたらす大きな要因のひとつが、琵琶湖北西に連なる比良山系から吹き下ろす「比良おろし」。この局地的な強風に悩まされているのは船舶だけではない。琵琶湖と比良山系の間を走るJR湖西線もそうだ。開通は昭和49年7月。関西から北陸方面へのバイパス路線として、50年に特急列車が通るようになってから45年。それは「比良おろし」と向き合ってきた歴史といっても過言ではない。

 鉄道が苦手なものを挙げるとすれば、それは勾配と横風。「弱点」のひとつにさらされるかたちの湖西線では、開業してからわずか5年あまりで、風による事故が発生した。昭和54年10月、台風16号の接近で暴風警報が発令される中、北小松-近江舞子間を走行中の貨物列車が突風で脱線し、編成中間の貨車2両が10数メートル下の高架下に転落した。

 平成9年6月には台風8号の強風のため、比良駅構内で停車していた貨物列車の計3両が横転した。事故の原因調査では当時、最大瞬間風速57メートル以上の風が吹いたとされた。

 JR西日本は過去の事故などをふまえ、安全最優先として、湖西線内では風速20メートル以上で徐行、25メートル以上で運転見合わせという規制を定めている。この基準は一般線区より厳しく、ダイヤの乱れが生じやすい要因にもなっていた。

 ただ、湖西線は関西と北陸を結ぶ特急「サンダーバード」が1日約50本行き来し、大津市や滋賀県高島市などから京都や大阪への通勤・通学客にとっては重要な足。運転規制を少しでも減らしてほしいという声が沿線住民らから上がっていた。

 そこでJR西が取り組んだのが防風柵の設置。京都方から湖西線に乗り、和邇(わに)を出てしばらくすると、線路の山側に、高さ約2メートルの柵が続いているのが見える。風の遮蔽率は60%。和邇-近江塩津間が対象で、20年から設置が進められ、31年3月に完了。総延長は14・6キロとなった。

 防風柵のある区間の強風規制値を25メートル以上で徐行、30メートル以上で運転見合わせに緩和することで、運転規制の時間はおおむね6~7割程度減少した。

 今後も安全と安定輸送の両立が推し進められる湖西線。しかし、湖西線に運転規制がかかった際、特急「サンダーバード」が湖西線を通らず、米原を経由する迂回(うかい)運転となる場合があるが、その本数は一昨年度で約100本、昨年度(3月18日時点)で約300本。琵琶湖で起こる水難事故も含めて考えると、自然が持つ力の大きさを感じざるを得ない。

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