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「断腸の思い」岸和田だんじり祭中止 感染防止探るも苦渋の決断

 新型コロナウイルスの感染拡大で、9月に予定されていた「岸和田だんじり祭」が中止となり、運営団体は6日、記者会見し、「町民や訪れる人たちの健康を考えて、曳行を自粛せざるを得ないと判断した」などと説明した。これまで、感染防止対策をとったうえでの実施を目指していたが、断念した。江戸時代から続き、勇壮さで知られ、毎年数十万人が訪れる伝統の祭り。75年ぶりの中止という苦渋の決断を強いられ、関係者は「中止は断腸の思い」と悔しさをにじませた。(牛島要平)

「非常に残念」

 「だんじりの曳行にこだわって、(実現に向けて)模索してきたので自粛は非常に残念。来年以降につなげていきたい」

昨年の「岸和田だんじり祭」の様子=大阪府岸和田市(寺口純平撮影)
昨年の「岸和田だんじり祭」の様子=大阪府岸和田市(寺口純平撮影)
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 この日、同市内の岸和田だんじり会館で開かれた会見で、運営主体の「岸和田地車祭礼年番」の責任者、山出智司(ともじ)年番長(57)はこう話した。

 祭りは約300年前の江戸時代中期に始まった。市内の22町(岸和田地区)がそれぞれ所有するだんじりが商店街などを駆け巡り、勢いをつけて道路を直角に曲がる「やりまわし」が見どころ。昨年は2日間で計約41万6千人の観客が訪れた。

 今年は9月19、20日に予定されていたが、だんじりの曳き手や大勢の観客が集まることによる感染の懸念から、祭りの実施を危ぶむ声は市内外から日増しに強くなっていた。

「責任は取る」と模索

 「母親のおなかの中にいたときからだんじりの太鼓の音を聞いて育った。できることならやりたい。みんなそう思っている」

 祭りのある関係者は、だんじりにかける変わらぬ思いをそう語る。

 勇壮さで知られる祭りは、行政ではなく各町の自主運営で行われる点も特徴だ。各町会から選出された年番の計28人が曳行コースの決定や関係機関との折衝などを受け持っている。今年も当初は、コロナ対策をとりながら実施する方向で会合を重ねてきた。

 「責任は取る。どうすればできる限り安全に祭りを実施できるかを考えてみてほしい」

岸和田だんじり祭の中止について説明する岸和田地車祭礼年番の山出智司年番長と祭礼町会連合会の花枝秀材会長、永野耕平・岸和田市長=(左から)大阪府岸和田市
岸和田だんじり祭の中止について説明する岸和田地車祭礼年番の山出智司年番長と祭礼町会連合会の花枝秀材会長、永野耕平・岸和田市長=(左から)大阪府岸和田市
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 だんじりを所有する町会の集まり「祭礼町会連合会」の花枝秀材(ひでき)会長(57)は、5月中旬、現場で運営を担う山出年番長にこう依頼したという。

 例年通りの開催は難しいが、山出さんはだんじり曳行だけでも「例年通りの規模で行いたい」と、市内の医療機関に相談。参加者の検温など、体調管理の徹底を前提にした実施を提案したところ、「万が一、祭りの当日に搬送されてきた人がいても新型コロナと熱中症の区別が難しい」などと課題が指摘されていた。

 保健所や警察、市役所などとも協議を続けた山出さん。観客については「入場を制限せざるを得ない」と判断し、動画投稿サイトなどを活用してライブ配信することで、見物自粛を求めることも検討していた。

 祭りの実施の是非を決めるタイムリミットは、各町で新調、修理しただんじりに魂を入れる「入魂式」が予定される7月下旬だった。「なんとか今年も祭りを続けたい」。6月上旬には今年の祭りの開催を知らせるポスターもできあがり、各町に配布していた。

来年以降に

 ただ、京都・祇園祭や大阪・天神祭、徳島・阿波おどりなど全国各地の祭りが相次いで中止を発表。岸和田でも6月末までに「クラスター感染の危険性は避けられない」として独自に自粛を決める町が相次いだ。最終的には全体での自粛を余儀なくされた。

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 岸和田だんじり祭はその長い歴史の中で、コレラの流行や、戦争の影響で何度か中止を余儀なくされてきた。その都度、町の人たちの努力で、再び祭りは続けられてきた歴史もある。花枝さんは「神事については、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を取り、各町ごとで行う予定」と明かした。

 開催実現への模索について「今年できる限りのことはした」と話す山出さんも「来年、岸和田の祭りをこれからも続けていけるよう、コロナの終息を祈っている次第です」と話した。

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