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規模縮小の天神祭 神事ライブ配信 コロナ後の祭り模索

 日本三大祭りのひとつ、天神祭を行う大阪天満宮(大阪市北区)が、25日に本殿内で予定している「本宮祭」をライブ配信することが2日、わかった。これまで一般公開されてこなかった神事の全てを中継するのは千年以上の歴史で初めて。今年の天神祭は新型コロナウイルスの影響で、奉納花火や大川を100隻近い船で渡る船渡御(とぎょ)などの華やかな行事が中止に。しかしライブ配信では、神事を神職の解説も加えながら中継する予定で、「祭り本来の意義を知ってもらえるチャンス」ととらえる。コロナ後の新しい神事の在り方を模索している。(北村博子)

リモートで祈願

 ライブ配信は動画投稿サイト「ユーチューブ」で行う。2台の固定カメラと1台の移動カメラを本殿に入れ、25日午後2時から約1時間にわたる神事を中継する。

 配信する本宮祭は天神祭の中核の神事。関係者が参列する中、寺井種治宮司を含む9人の神職が執り行う。本殿の一番奥にある同宮の御祭神・菅原道真公の御神体を納める場所につながる「御扉(みとびら)」を開け、御簾(みす)を上げる様子もライブで伝える。御神体は見えないが、神聖な景色を画面上で拝むことができるという。

 神事の中心に位置付けられる宮司の祝詞奏上では、今年は特別に「コロナウイルス退散」の祈りを込めるといい、視聴者も家にいながらリモートで祈願ができる。4人の巫女(みこ)による神楽舞なども配信する。

 中継にあたって、別室に控える司会進行役の神職が撮影画面をチェックしながら、神事の流れや内容を一つ一つ解説していくといい、現在、台本作りやリハーサルの準備を進めている。

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 寺井宮司によると、天神祭は、夏場に広がる感染症や疫病の退散を祈願するため、平安時代の天暦5(951)年から始まり、その神事は戦乱や大火、不況などの難局を何度もくぐり抜け、絶え間なく続けられてきた。近年は花火や船渡御といった華やかな行事にばかり目が向けられがちだが、寺井宮司は「今回は祭り本来の意義を知っていただけるチャンス。映像を流すだけでなく、解説を行うことでさらに理解が深まるのではないか」と新たな試みに期待を込める。

コロナ後の潮流

 大阪天満宮文化研究所の高島幸次研究員も「古来、日本では本殿の前ではなくても、神社の方向を向いて祈る『遥拝(ようはい)』の習慣がある。今回のライブ配信が新たな遥拝の形になるかもしれない」と話す。

 また、24日の宵宮、25日の本宮と2日にわたって行われる天神祭の関連神事、行事は奉納花火や船渡御だけでなく、船上祭や宮入、獅子舞、子供たちによる傘踊りなど多岐にわたっており、来年以降は、こういった行事についても撮影を行い、資料映像を増やして将来に残す考えだ。

賑やかに行われた昨年の天神祭のようす=大阪市北区の大阪天満宮
賑やかに行われた昨年の天神祭のようす=大阪市北区の大阪天満宮
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 大阪歴史博物館の澤井浩一学芸課長は「神事の撮影がタブーとされる中、神社が主体となって神事をライブ配信する例は珍しいのではないか。天神祭の歴史が連綿と続いていることをアピールできる」と指摘する。その上で「コロナ後の新しい潮流といえる。実際の参拝や祭り見物の魅力にはかなわないだろうが、今後、祭りへの参画の仕方も広がるだろう。普段立ち入れない場所だけに研究者としても興味深い」と話している。

各地で夏祭り中止

 新型コロナウイルスは全国の夏の祭りに大きな影響を与えている。京都の祇園祭や青森ねぶた祭、福岡の博多祇園山笠などは軒並み通常通りの開催を断念した。一方で、行事は行わないが、祭りの気分を味わってもらうためのインターネットを使った新たな動きもある。

 平安時代から続く京都市の祇園祭は、山鉾巡行を58年ぶりに取りやめることを決めた。八坂神社で1カ月にわたって行われる神事に関しては縮小して関係者だけで行うという。

 毎年7月1日から15日にかけて開催される福岡の博多祇園山笠は開催を見送った。15日の神事は規模を縮小して執り行う。また巨大なねぶたを乗せた山車で知られる青森ねぶた祭(青森市)も、8月2~7日に開催を予定していた祭りの中止を発表した。戦後初めてという。

 400年の歴史があるとされる徳島市の阿波踊り(8月12~15日)も中止を決定。一方で事務局が、徳島市阿波おどり公式SNSサイトを設けた。「みんなで阿波おどり応援プロジェクト」として、投稿された阿波おどりの決めポーズや応援メッセージの写真を紹介し、祭りの雰囲気を楽しめるようにしている。

 【天神祭(てんじんまつり)】 毎年7月24、25日に行われる大阪天満宮(大阪市北区)のお祭り。京都・祇園祭、東京・神田祭と並んで「日本三大祭り」のひとつとして知られる。特に7月25日の本宮の夜は、約100隻の船渡御や奉納花火を目当てに、全国から毎年約130万人が訪れる。

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